2011年3月27日日曜日

メルトダウンは(14)

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毎日.jp 毎日新聞 2011年3月27日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110327ddm003040116000c.html

東日本大震災:福島第1原発事故 制御、長期戦に 作業阻む放射性物質
 ◇「1カ月かかる」見方も

 東日本大震災で壊滅的な事故を起こした東京電力福島第1原発1~4号機の復旧作業が難航している。
 強い放射能を持つ汚水がタービン建屋に漏れ出し、作業が困難になっている上、原因不明の火災や発煙も相次ぐ。
 運転再開は絶望的で、それ以前に原子炉を安定的に冷やすのに必要な冷却機能も回復していない。
 炉が安全な状態になるまでには1カ月単位の時間が必要との見方も出ている。

 「運転している原子炉の(冷却)水の1万倍の放射能。通常では考えられない」

 3号機のタービン建屋地下1階で24日、電源復旧のためケーブルを敷設していた作業員3人が強い放射能を持つ汚水で被ばくした事故。
 25日未明に会見した東電の担当者は苦渋の表情を浮かべた。
 経済産業省原子力安全・保安院は汚水について
 「破損した燃料を含む水が、原子炉から漏れ出した可能性が高い」
と説明するが、漏えい場所は不明だ。

 東電は、汚水を除去するまで電源の復旧作業を中断。
 1号機の汚水は25日からポンプでくみ上げ、復水器の中に排水している。
 しかし1号機のタービン建屋は津波で約40センチ浸水、大量の水処理に時間がかかっている。
 2、3号機も1メートル以上の水深があり、排水方法も決まっていない。

 解決手段が定まらないまま、保安院は26日、第1原発の放水口付近で採取した海水から、基準値を1250・8倍上回る放射性物質のヨウ素131が検出されたと発表した。
 セシウム134も117・3倍と深刻だ。
 「雨で流れていくことはあると思うが、これほど高濃度になるとよく分からない」
と頭を悩ます。

 東電は22日までに、同原発の全6基で外部電源の受電を完了。
 1~3号機では中央制御室の照明も点灯した。
 今後、真水を原子炉に注入する補給水系ポンプに電源を供給し、原子炉や使用済み核燃料プールの当面の冷却を行う。
 続いて、原子炉内の水が100度以下に冷える「冷温停止」という安全な状態に持ち込むことを目指す。

 しかし、冷却に必要な電源を供給できるのか、できたとしても正常に動くかは未知数だ。
 特に1、2号機では、タービン建屋の補給水系ポンプが津波の浸水で破損。
 予備のポンプに交換する予定だが、2号機のタービン建屋では毎時500ミリシーベルトの高い放射線が計測され、遮蔽(しゃへい)などの被ばく対策を施さなければ作業ができない。

 また、冷温停止状態に必要な別のポンプは原子炉建屋の中にある。
 さらに強い放射線があることが予想され立ち入るめどすらたっていない。
 保安院は
 「通常だと冷却機能が回復してから約1週間で冷温停止状態になる。
 今回はそこに持ち込めるのかどうかは分からない」
と言葉を濁す。

 NPO法人「原子力資料情報室」の上沢千尋さんは
 「電源を喪失した時点で、トラブルが起こることは想定できたはずだ。
 しかし、東京電力の対応は収束までの見通しを持っているように見えない。
 このままでは冷温停止状態になるのに1カ月程度かかる可能性がある。
 さらに冷却システムが機能していないことを考えると、(放射性物質の漏えいが止まる)収束までに年単位の時間を要することもありえる」
と話す。

 同原発1号機は26日、日本原子力発電敦賀1号機と関西電力美浜1号機に次いで、国内で3番目となる運転40年を迎えた。
 今年2月には保安院が今後10年間の運転継続を認可したばかり。
 東電の武藤栄副社長は26日夕の会見で、
 「40年目にこういう事態になるのは残念で申し訳ない。
 現段階で復旧の見通しは言えない」
と語った。






テレ朝news 2011年03月27日 15:25
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210327013.html

【原発】2号機のたまり水から1000万倍放射性物質

 福島第一原発の2号機のタービン建屋にたまった水から、運転中の原子炉内の水の約1000万倍にあたる非常に高い濃度の放射性物質が検出されました。

 放射性物質を含む水たまりは、1号機から4号機すべてのタービン建屋の地下で確認されています。
 このうち2号機の水の放射能濃度は、通常運転中の原子炉内の水の約1000万倍だったことが分かりました。
 また、水たまりの表面から1時間あたり1000ミリシーベルトを超える非常に高い放射線量が検出されました。
 第一原発で測定された放射線量としては最大です。
 原子力安全・保安院は、原子炉から漏れ出した可能性が高いとみています。
 大量被ばくを避けるため、担当者は途中で測定を中断し、退避しました。



 一方、原発近くの海水から、国の基準の約1850倍の濃度の放射性ヨウ素が検出されました。
 放射性物質が継続して排出されている可能性があるということです。




日経新聞 2011/3/27 4:00
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819691E0E4E2E2E58DE0E4E2E1E0E2E3E39C9CEAE2E2E2

汚染水が状況好転阻む 福島原発、3つの可能性


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 東日本大震災で甚大な被害を受けた東京電力福島第一原子力発電所では、冷却に使っていた海水を真水に代え、外部電源の復旧作業も少しずつ進んでいる。
 ただ、タービン建屋内に放射性物質に汚染された水がたまるなど作業環境は過酷さを増しており、計画通りに作業できず関係者にはいらだちも募る。
 膠着状態は続くのか、打開のきっかけはつかめないのか。今後の展開を考える。

■可能性(1):消防ポンプ継続

 2号機で26日、原子炉冷却用の海水を真水に切り替え、25日から真水を注入している1、3号機と併せ、緊急停止した1~3号機すべてが本来の冷却の姿に近づいた。
 原子炉が備える多重の冷却系の稼働へわずかに前進したが、放射線量は依然として高い。
 これらの冷却系に電源を通じさせる作業は好転せず、燃料棒の過熱をかろうじて抑える現在の状況が当面、続きそうだ。

 冷却水を真水にした点は不安材料の一つをなくせる。
 海水だと蒸発後に塩が残り弁や配管に詰まったり電気配線をさび付かせて電気を通した際にショートを起こしたりする心配があった。
 出光一哉・九州大学教授は真水への切り替えは
 「海水による悪影響を抑える望ましい対策」
と解説する。

 だが、ほかの作業が滞っている。
 外部電源を受ける体制は1~3号機で整い中央制御室の照明もついたが、その先へ電気を通す作業は進んでいない。
 特に冷却水を循環させるポンプの再稼働が遅れている。
 3号機のタービン建屋でその作業を進めようとした矢先に、たまった水から高い放射線量が検出され、除去する必要が生じた。

■可能性(2):冷却機能が回復

 排水作業はいつまでに終えられるのか見通しが立たない。
 しばらく消防ポンプで冷却するぎりぎりの状態が続きそうだ。

 期待される次の段階は、外部電源とつながった冷却用のポンプが復帰し、圧力容器内の温度を下げる体制が整うことだ。
 原子炉内の水は膨大な熱量をもつため、消防ポンプで水を送り込むだけでは簡単に冷えない。
 まず、強力な冷却系の回復を関係者は望んでいる。

 さらに外部電源が復活し様々な計器類が動作すれば、事態の好転に弾みがつく。
 一部の計器で炉の状況がつかめるだけでも大きい。
 「どこが壊れているのかを明確にできれば、次の戦略を立てる際にも有効」(出光九大教授)という。
 このためにも建屋内にたまった水の除去が不可欠だ。

■可能性(3):燃料棒溶け出す

 最も懸念される事態の可能性もまだ残る。
 燃料棒が溶けて放射性物質が外部に漏れ出すことだ。
 京都大学原子炉実験所の宇根崎博信教授は
 「消防ポンプの停止などのトラブルが起きれば圧力容器の温度が急に上がる恐れもある」
と指摘する。
 その場合は格納容器の温度も高まり、水蒸気を逃がさなければならず、放射性物質を大気中に放出する事態を避けられない。

 厚い金属製の圧力容器は頑丈なので溶けた核燃料が外部に漏れる恐れは極めて低い。
 だが、
 これまで経験したことのない事故の連鎖
で、厳しい局面を迎える可能性も否定できない。





== 東日本大震災 == 



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