2011年3月31日木曜日

福島原発、復旧のシナリオ

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● 福島第1原発復旧シナリオ: SANKEI Biz より




SANKEI Biz 2011.3.30 21:00
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/110330/cpb1103302102007-n1.htm

【放射能漏れ】原発安定3つのシナリオ 最短で1カ月以上 最悪なら数年

 東日本大震災で深刻な被害を受けた東京電力福島第1原子力発電所は、「安定」状態を取り戻す復旧作業の長期化が避けられない状況だ。
 第1段階である大量の汚染水の排水・回収が難航。
 その後も循環・冷却システムの復旧など「いくつもの高いハードル」(経済産業省原子力安全・保安院)が待ち構える。
 専門家からは、最短でも1~数カ月、最悪なら数年の時間を要するとの見方も出ている。
 さらに廃炉処理によって「安全」と「安心」を取り戻すには、10年以上の長期戦を覚悟する必要があるとの指摘も出ている。

■シナリオ1

 原子炉の温度を100度以下の「冷温停止」状態にできるかの最大のポイントは、震災と津波による電源喪失で失われた「冷やす」機能の復旧だ。
 震災時に制御棒が装填され、核分裂は止まったが、炉心の燃料棒内の放射性物質は安定した物質に変化する過程で「崩壊熱」を出し続ける。

 現在はプルトニウムが漏れ出す2700度以上の高熱になり、一部溶融した燃料棒を冷やすため、仮設ポンプによる注水を続けている。
 だが、注水は応急処置にすぎず、水はすぐに蒸発してしまう。

 冷温停止には、「残留熱除去システム」と呼ばれる原子炉内の水を循環させ、高温となった水を外から海水との熱交換で冷やすシステムを再稼働させることが不可欠だ。
 緊急停止後に正常にシステムが作動すれば、2日程度で冷温停止になる。

 東電や保安院内には当初、
 「システム再稼働まで1カ月以内」
との期待もあった。
 だが、現在は汚染水に阻まれ、原子炉建屋内にある配管やポンプ、熱交換装置の故障の有無も確認できない状態で、そのシナリオは遠のきつつある。

■シナリオ2

 1~3号機は、原子炉内の高濃度の放射性物質を含んだ水が、原子炉格納容器や配管、バルブなどの損傷で外部に漏れ出しているとみられ、循環・冷却システムも損傷している可能性が高い。
 汚染水は強い放射線を放出しており、修理や交換は困難だ。保安院でも「(損傷場所を迂回し)別のルートを使う」とし、代替ルートを検討している。

 「ビルの屋上にあるクーリングタワー(エアコン室外機)のようなものを持ち込むなど、仮設の配管と熱交換装置で循環・冷却システムを構築できる」と指摘するのは、元東芝研究員の奈良林直北海道大教授(原子炉工学)だ。

 放射線量の高い厳しい環境での作業となり、奈良林教授は
 「放射線を遮る鉄板やコンクリートのついたてを設置して道を作り、鉛の入った防護服と併用して安全を確保した上で、作業員が交代しながら工事を行うしかない」
と話す。

 米スリーマイル島の原発事故処理では、冷温停止後に燃料棒を取り出す際に同様の方法をとっており、ノウハウはあるというが、作業は数カ月に及ぶ可能性がある。

■シナリオ3

 水素爆発などによる損傷が激しく、循環・冷却システムが復旧不能な事態も想定しておかなければならない。
 注水だけで核燃料を冷やさざるを得なくなった場合、どれだけの時間がかかるのか。京都大の宇根崎博信教授(原子力工学)は、
 「1年後には崩壊熱は現在の5分の1程度にまで小さくなる」
と指摘。そうなれば、原子炉を満水にして、蒸発で減った分だけ水を補給する安定的な冷却が可能になるとみる。

 だが、
 「本当の安定までには、そこから数年をみなければならない」(宇根崎教授)。
原子炉の除染や解体などによる処理が始まるのはそこからだ。

 復旧が長引けば、その間、水蒸気や水とともに放射性物質の漏出が続く。
 総力を挙げた復旧に加え、長期化も視野に入れた対策が急務だ。




毎日.jp 毎日新聞 2011年3月31日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110331ddm003040108000c.html

東日本大震災:福島第1原発事故 沸騰水型、構造裏目に 炉心底部に多数の配管




 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の原子炉は、「沸騰水型軽水炉(BWR)」と呼ばれる。
 国内の商用炉の6割を占めるが、今回の事故によって起きた大量の放射性物質の放出や汚染水の問題は、この構造が裏目に出た可能性がある。
 核燃料が過熱によって損傷し、核燃料を厳重に閉じ込めるはずの「原子炉圧力容器」の底部から外部に漏れ出していると関係者は見ている。

 二ノ方寿(ひさし)・東京工業大教授(炉心安全性)によると、福島第1の原子炉は、水滴を含んだ蒸気を乾かす装置が圧力容器(高さ約22メートル)の上部にあるため、燃料棒の核分裂反応を止める制御棒は容器の底から通す構造になっている。

 圧力容器は厚さ約16センチの鋼鉄でできているが、底部には制御棒や中性子計測管を貫通させる100本以上の配管がある。

 一方、商用原子炉のもう一つの型「加圧水型(PWR)」は、制御棒を上から差し込む構造だ。

 現在、福島第1で発生している高濃度の汚染水や放射性物質は、圧力容器の底から漏れ出したものだと専門家は見る。

 ◇核燃料、溶接部から漏出か

 奈良林直・北海道大教授(原子炉工学)は2号機について
 「溶け落ちた高温の燃料が、配管の表面や溶接部分を溶かして穴を開け、管内を伝わって少しずつ格納容器内に漏れ落ちたのではないか」
と推測する。
 小林圭二・元京大原子炉実験所講師も
 「損傷しているとすれば底の部分だろう。
 貫通部の溶接部分が損傷して隙間(すきま)ができ、ここから漏れている可能性が高い」
と指摘する。

 国側も圧力容器の損傷の可能性を考えている。

 経済産業省原子力安全・保安院は30日の会見で、1~3号機の汚染水の起源について
 「圧力容器内で燃料棒が損傷してできた核分裂生成物が圧力容器の弁や管、(容器の底にある)制御棒の入り口とか弱いところから格納容器に出て、さらに漏れ出たと推測する」
と話した。
 原子力安全委員会の代谷誠治委員も30日の会見で
 「1~3号機は圧力容器内が高温なのに圧力が上がっていない。
 程度の差はあれ、圧力容器に損傷がある可能性は高い」
と指摘した。

 本来なら、燃料棒を冷やすための注水によって大量の水蒸気が発生し、炉内の圧力は高まるはずだからだ。

 これに対して東電は
 「水が外に出ているのは確かだが、どういう壊れ方か想定できない。
 大きく穴が開いているわけではない」
と、圧力容器の損傷を明確には認めていない。

 1時間当たり1000ミリシーベルト以上と、極めて高い放射能を帯びた汚染水が大量に見つかった2号機では、2度にわたって圧力容器内が空だきになり、燃料棒が露出。燃料の壊れ方が1~6号機で最も大きいと考えられる。

 さらに、圧力容器を納めた格納容器の一部「圧力抑制プール」付近で15日に爆発音があり、同プールの破損が懸念されている。
 こうした状況で、燃料の破片を含む水が直接、同プールの穴から外部に流出した可能性がある。

 2号機同様、圧力容器と格納容器内の圧力がほぼ等しくなっている3号機でも、同様の仕組みで燃料が漏れ出ている可能性は否めない。

 原発で起こりうる重大事故については、配管から核燃料が漏れる可能性が国際会議で議論されたこともあり、配管や溶接部分のもろさはBWRの弱点と言える。
 二ノ方教授も
 「炉心が溶ける恐れがある場合、下部に貫通部分がある構造は弱みになる」
という。

 しかし奈良林教授は
 「今回はその弱点が安全弁的な役割を果たしている可能性がある」
とみる。
 燃料が漏れ出るにしても、少しずつ出ることによって、圧力容器の底が一気に抜けて大量の核燃料が格納容器内の水と反応し水蒸気爆発を起こす「最悪のシナリオ」が避けられるからだ。
 仮に水蒸気爆発が起きれば、これまで以上に大量の放射性物質が飛び散って周囲に近付けなくなり、原子炉の冷却ができなくなる恐れがある。

 福島第1の各原子炉では核燃料の冷却が進められている。

 奈良林教授は
 「現在は収束に向かい始めるまでの最終段階。
 汚染水が海に漏れないよう対策を施し、さらに安定的に炉心を冷却できるシステムが確立できれば、
 半年から1年の間に冷却を終えられるだろう」
と予測する。



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 ■ことば
 ◇日本の商用原子炉の型

 沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)がある。
 BWRは燃料の核分裂で発生する熱で冷却水を沸騰させ、蒸気を隣接する建屋に送ってタービンを回す。
 PWRは炉内の圧力を高めて1次冷却水の沸騰を抑え、その熱を2次冷却水に伝えて蒸気を作りタービンを回す。
 これにより、放射能を帯びた水は格納容器内に閉じ込められる。
 世界全体ではPWRが多く、79年に事故を起こした米スリーマイル島原発もPWR。
 国内では6割弱がBWRだ。



● 放射能封じ込めと沈静化策






== 東日本大震災 == 



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日本の原発製造企業は

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● 日立と東芝



週刊ダイアモンド 2011年3月29日
http://diamond.jp/articles/-/11636

吹き飛んだ将来の飯のタネ
東芝・日立は戦略見直しへ

福島第一原子力発電所の危機により、原発を設計し造ってきた東芝や日立製作所などのメーカーは、少なくともこの先5年の経営計画を見直す必要がある。

「われわれのエンジニアや研究者たちをもっと使ってくれれば、もっと早くに事態を収束できたはずだ。
 東京電力の地震後の対応にはがっかりだ」──。

 ある東芝首脳はこう吐き捨てた。
 危機的状況から脱せない福島第1原子力発電所の状況にいらだちを隠せない。


● 磯子エンジニアリングセンター新棟。地震発生直後から危機対応の準備は万全だった

 東芝には最先端の原子力技術を研究する磯子エンジニアリングセンターがある。
 福島第1原発とはホットラインで結ばれており、地震後も、衛星通信によって正確な情報を得られる状況だったという。
 「エンジニアがいつでも動けるような体制は整っていた」(同首脳)。

 加えて
 「日立製作所の設計した4号機についても、うちのエンジニアが対応できるように考えていた」(同首脳)。
 日立は茨城県の日立事業所が被災している。
 その対応に追われるだろうと、東芝は配慮していたのだ。
 メーカー側は企業の枠を超えて、福島第一原発の危機に対応する準備を整えていた。

 しかし、次々と起こる危機的状況に東電と政府は混乱していた。
 せっかくの準備をよそに、なかなか東電や政府から支援要請の声がかからない。
 それでいて状況は悪くなるばかり。
 前出の東芝首脳がいらだつのも無理もない。

 両メーカーは、日本の原発の歴史に深くかかわってきた。
 日々の点検や管理などで、実際に現場で手を動かすのはメーカーである。
 ゆえに、原発構造に関する知見も、当然ながら蓄えている。

 「東電に原子炉に関する知見がないとはいわない。
 でも燃料や炉心、格納容器など、それこそなにからなにまでいちばんよく知っているのは実際に図面を描いたエンジニアでしょう」。
メーカー側は口を揃える。

■メーカーが福島の平穏を切望する最大の理由

 メーカー側には、福島の状況が一刻も早く落ち着いてほしいという自分たちなりの事情もあった。
 原子力は二酸化炭素を出さないエネルギー源として注目を浴びていた。
 また、爆発的に増える新興国でのエネルギー需要を賄うための救世主として、建設ラッシュが始まる、“原子力ルネサンス”の本格的な幕開けを目の前にしていた。

 地震大国の日本で、世界で最も厳しいといわれる耐震基準をクリアして原子炉を開発、設計してきた東芝や日立の技術力は、世界から求められていた。
 メーカーもそれを売りに世界中の原発需要でひと儲けしようと、そろばんを弾いていたところだったのだ。

 東芝は2006年2月に米大手原発プラントメーカーのウェスチングハウスを54億ドル(当時の為替レートで約6210億円)もの巨費を投じて買収。
 さらに、いちプラントメーカーにとどまらず、燃料調達なども手がける“原子力の総合企業”に生まれ変わるべく舵を切り、07年8月にはカザフスタンでウラン権益を確保するなど、事業構造の転換を急いできた。

 中期経営計画では15年度までに世界で39基を受注し、原子力事業だけで売上高1兆円という目標を掲げている。
 その目標も13年度に達成可能で、10年度は約6000億円の原子力事業での売り上げを見込んでいる。

 利益面での貢献も大きい。
 東芝のもう一つの主力事業であるLSIなどの半導体事業が、価格変動と需給バランスによって浮き沈みが激しいのとは対照的に、毎年100億~150億円の利益を生み出す“読める”事業だったのだ。

 ウェスチングハウスの投資回収は当初17年間だったが12~13年で回収可能と見ていた。

 日立も同じくバラ色の未来を描いていた。
 30年までに世界で38基の原発新設需要を取り込み、09年度に2100億円だった原発売上高を20年度には3800億円まで引き上げる目標を立てていた。

 震災4日前の3月7日には、不採算事業だったハードディスクドライブ事業を米ウエスタンデジタルに売却し、原発をはじめとするインフラ事業に集中すると発表したばかりだった。

 しかし、今回の福島原発の影響で、こうした事業計画はすべて見直しを迫られることになる。

 国内で原発の新設計画を進めることなど不可能に近い。
 すでに東電が進めていた青森県の東通原発1号機、2号機の新設計画はストップする見通しだ。
 そのほかも、ほぼすべてが凍結されるだろう。

 下表にまとめたのは海外の原発開発計画の一部だ。
 総電力量の約75%を原子力で賄う原発大国フランスは従来どおり新設計画を進めると宣言しているが、多くの国で計画が遅れるか、見直される可能性が高い。



 ある外資系証券アナリストは
 「東芝や日立が今までのように原子力事業から利益を積み上げていくことはかなり難しい」
と予想する。
 今後を楽観できる要素は一つもない。

 こうした急ブレーキで、東芝はウェスチングハウスを買収した際に発生したのれん代の減損処理を迫られる可能性がある。
 54億ドルもの資金を投じたが、その価値は目減りしている。

 だが東芝首脳は
 「原子力事業の将来のキャッシュフローが見えない段階で、今すぐに減損処理を迫られることはない」
と断言する。

 また別の東芝首脳も、今回の震災で世界の原発新設計画がすべて止まることはないと話す。
 依然として現在稼働している原発の燃料需要やメンテナンス需要が見込め、今までと同様に売上高と利益は積み上がっていくはずだと強気の見通しを示している。

 福島第一原発の危機的状況を前に、あまりに楽観的な将来見通しのように思えるが、その背景には、今回の事故は東電と政府の後手に回った対応が原因であり、東芝と日立は“被害者”だという思いがあるからだろう。

 今、東芝と日立の原子力事業のエンジニアたちは、国家の危機に対し被曝覚悟で福島で奮闘している。
 一方、被災した自社の拠点の立て直しにも追われている。
 そしてそのうえで、“将来の飯のタネ”である原子力事業計画の見直しという、3重の試練に直面しているのである。





== 東日本大震災 == 



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出口見えない原発危機、解決には数十年か


● 3月30日、東日本大震災で被災した福島第1原子力発電所からの放射能汚染が広がる中、現場で対応に追われている作業員らは、悪夢のようなシナリオに直面している。
 20日に撮影された同原発の提供写真(2011年 ロイター/Air Photo Service)




ロイター 2011年03月31日18時36分
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20365420110331?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0

焦点:出口見えない福島原発危機、解決には数十年か

[ニューヨーク/ワシントン 30日 ロイター] 
 巨大地震と大津波で被災した東京電力福島第一原子力発電所からの放射能汚染が広がる中、一段の深刻化を防ぐため現場で対応に追われている作業員らは、悪夢のようなシナリオに直面している。

 あらゆる取り組みは生命の危険を伴い、
 福島原発危機が最終的に収束するには数十年かかる見通しだ。

 専門家らは、それまでに多くの挫折や失敗、恐ろしい局面を迎える可能性があると指摘。
 現時点では、
 金銭的なコストや作業員らが健康面で被る代償がどれほどのものになるのか
予想すらおぼつかない。

 30日に記者会見した東京電力の勝俣恒久会長は、深刻な状況が続く福島第一原発1─4号機は
 「客観的に考えて廃炉にせざるを得ない」
と言明。
 しかし、燃料棒の多くは依然として非常に危険な状態が続いており、
 廃炉までには長時間を要する
とみられる。

 差し当たっては原子炉内への注水作業を継続し、使用済み燃料棒プールの高温化を防ぎつつ、冷却装置の復旧に取り組まなくてはならない。
 楽な選択肢はどこにもない。

 原発産業に30年近く携わっているフェアウィンズ・アソシエーツのチーフエンジニア、アーニー・ガンダーソン氏は
 「彼らは原子炉に水を入れては流す状態(feed and bleed)に陥っている」
と指摘。
 冷却装置が正常に稼働しない限り、容器内の圧力低下には放射性物質を含んだ蒸気を外に逃す必要があるが、蒸気が出ればさらに水を供給しなくてはならない。

 放射性物質を含む水の一部は、地震やその後に起きた水素爆発で損傷を受けた可能性がある原子炉や格納プールからも流れ出ている。
 汚染水は原子炉内外の予期せぬ場所から見つかっており、そのことが、作業員の原発修復作業を一層困難なものにしている。

 <原子炉冷却と汚染水漏出防止の綱引き>

 世界各地で環境や安全対策の強化を提言している非営利団体「憂慮する科学者同盟(UCS)」のエド・ライマン氏は
 「原子炉の冷却と汚染水の管理という相反する問題が存在している」
と指摘する。
 東京電力は28日、汚染水の漏出を最小限に食い止めるため、2号機への注水量を半分に減らしたが、結果的に、原子炉内の温度上昇を招いた。 

 米原子力規制委員会(NRC)の元委員長で、現在はカーネギー研究所の所長を務めるリチャード・メザーブ氏は、ロイターの取材に
 「核燃料を冷やすために注水は継続しなくてはならないが、一部で水は漏出しており、建物内の汚染が広がっているため作業員が中に入るのは難しくなっている」
と述べた。

 放射性物質で汚染された水を原子炉内にとどめておくことは、周辺環境への汚染拡大を食い止めるためには死活問題。
 国際原子力機関(IAEA)は30日、福島第一原発から40キロの村で、避難基準を超える放射性物質が観測されたことを明らかにした。
 また、同原発ではこの日、近くの海水からこれまでで最も高い濃度の放射性物質が検出された。

 1─3号機では、タービン建屋外の「トレンチ」と呼ばれるトンネル状の構造物からも放射能を帯びた水が見つかっている。

 東京電力はトレンチに貯まった水を復水器と呼ばれる設備に移す計画だが、そのためには復水器に入っている水を空にしなくてはならない。
 もし汚染水を貯めて処理することがうまくできなければ、海に流れ出てしまう危険がある。

 <海水から高濃度の放射性物質>

 汚染水が太平洋に流れ出ることは誰も望んでいないが、福島第一原発周辺の海水からはすでに、国の基準の3000倍を超える放射性物質が検出されている。

 ただ専門家の多くは、現在原発周辺で濃度が高まっている放射性物質は、少なくとも海水で希釈されるとの見方で一致している。
 フランス原子力安全当局(ASN)のアンドレ・クロード・ラコステ会長は、汚染水処理の別の選択肢として、新たな格納方法を見つけるか、
 「海に廃棄する」
ことも可能性として挙げている。

 福島第一原発は大地震と津波に襲われてから約3週間が経ち、一部で電気の供給が回復するなど光も見え始めたが、修復作業の進展を邪魔する放射能汚染を封じ込める有効な手立てにはまだたどり着いていない。

 <さらに難しい選択肢を迫られる可能性>

 これまでのところ、福島第一原発の復旧をあきらめて廃棄するという思い切った措置を求める声は目立っていない。
 それはつまり、日本が同原発からの長年にわたる放射能漏れを受け入れることも意味する。

 UCSのエド・ライマン氏は、今の段階で作業員らは
 「置かれた状況で最善を尽くしているが、状況はますます困難になりつつあり、簡単な出口はなくなりそうだ。
 さらに難しい選択肢を迫られるかもしれない」
と指摘する。

 JPモルガン証券のイェスパー・コール株式調査部長は、福島第一原発危機の継続は日本経済に打撃を与え続けるとし、
 「最悪のシナリオは、それが1─2カ月や半年では済まず、2年もしくはいつまでも続くことだ」
と語っている。





== 東日本大震災 == 



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ロボットがやってくる


● 遠隔操作可能なロボット「タロン」=米キネティック社提供



 先にロボット消防士の「バックポット」と「ウオーリアー」が日本に来ることになったことを書いたが、次は原発ロボットがやって来ることになった。
 その名は放射線測定ロボットタロン


日テレ 2011年3月31日 13:46
http://news24.jp/articles/2011/03/31/10179825.html

米国、原発事故現場での作業用ロボット提供

 アメリカ・エネルギー省は、福島第一原発の事故現場で作業に当たるロボットを、30日までに日本に向けて送ったと明らかにした。

 エネルギー省によると、日本に提供されるのはキネティック社のロボット「タロン」と強い放射線の中でも撮影が可能なカメラ数台。
 「タイロン」は遠隔操作が可能で、放射線量が多いため人間が近づくことができない場所で放射線の測定やデータ作成に使用されるという。

 エネルギー省は、要請があれば、他の機材なども提供するとしている。


 その映像がNHKにありました。


NHKニュース 2011年3月31日 10時30分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110331/k10015010831000.html

米 日本に放射線測定ロボット

 福島第一原子力発電所の事故に対応するため、アメリカ政府は、原発内でも遠隔操作によって放射線を測定できるロボットを、日本に支援することを決め、来週にも発送する予定です。

 このロボットは、アメリカのエネルギー省が、福島第一原発への事故に対応するため、日本に支援することを決めたもので、ロボットの操作を教える専門家も併せて派遣することにしています。 
 ロボットには、小型カメラのほか、放射線の検出器や感知器が搭載され、遠隔操作によって、事故が起きた原発の中でも撮影や放射線の測定ができるため、現場のより詳細な状況を把握するのに役立つのではないかと期待されています。
 エネルギー省は、このロボットを、来週にも西部アイダホ州にある研究所から日本に向けて発送する予定です。





 ロボットはアメリカだけでなく、フランスからもドイツからもやってくるという。
 いったいなぜ、
 ロボット大国日本にまともなロボットないのだろう
 あまりにも、経済至上主義であったために、お金を稼がないロボットはつくられなかったのだ。
 これから暮れゆく10年、こうしたことの課題となってくる。
 ロボットと文化はどうからみあっていくのか。
 ロボットとは金を稼ぐ機械か、それとも社会に貢献する機械か。
 ロボットは社会にとってなんなのかといった問題を解決することが求められる。
 経済主義は舞台から降りることになるだろう。
 こんなていたらくでいったいどこが「ロボット大国」か?
 どう考えたって、今の日本にロボット大国の称号はふさわしくない。
 「ロボット貧国だ


YOMIURI ONLINE 2011年3月31日13時25分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110331-OYT1T00467.htm

独が提供の原発作業ロボット受け入れを検討

 【ベルリン=三好範英】ドイツ政府報道官は30日、この日行われた菅首相とメルケル独首相との電話会談で、メルケル首相が遠隔操作の独製ロボットの提供を申し出たことを明らかにした。
 原発の敷地内のがれき撤去や原子炉の修復に使うことが可能という。
 報道官によると、どの機種を提供するかはまだ決まっていないが、日本政府も受け入れるかどうか検討中という。

 ドイツは日本や米国と並ぶ産業ロボットの主要生産国だ。
 遠隔操作で爆発物処理などを行うロボットにすぐれた技術を持つ。
 例えばパギックス社製ロボットは、80キロ・グラムのものを持ち上げるクレーンを備え、300メートル離れた所から2時間の連続運転が可能という。

 東京工業大学の広瀬茂男教授によると、
 ドイツでは原発での非常時に備えたロボット開発にも力が注がれ
ており、それらは、放射線が強い環境下でも電子回路が狂わないよう特別な仕様を取り入れている。






[◆ その後の話]

 日本のロボットはどこへいってしまったのだろう。
 あの長年にわたって行われた「ロボコン」のアイデア・技術はどうなってしまったのだろう。
 憂鬱な気分で過ごしてきましたが、やっとこさ、その姿を現しました。


テレ朝ニュース 2011/04/06 16:58
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210406042.html

【原発】国産ロボットを公開 現場投入向け改良へ

国産のロボットが公開されました。

 政府は、福島第一原発の処理をできるだけ無人化したい考えで、すでに千葉市消防局に導入されているレスキューロボットの投入を検討しています。
 ただ、このロボットは化学テロなどを想定したもので、原発事故に対応するため放射線対策などの改良が必要になります。







== 東日本大震災 == 



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日本は貧しい国になる


● 3月27日~28日にかけて撮影された仙台市周辺の航空写真
  宮城県仙台市から県南部を撮影したもの




msn産経ニュース 2011.3.30  22:44
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110330/amr11033022470007-n1.htm

米国で「東電には経営責任がある」株主代表訴訟も

 【ニューヨーク=松浦肇】東京電力の経営責任を問う声が米国内で強まっている。
 東日本大震災で事故を起した福島第1原子力発電所への対応処理、情報開示の遅さに対して、エコノミスト、大学教授からウォール街関係者まで批判的だ。
 東京電力が昨年9月に実施した公募増資では米国の投資家も東電株を購入しており、海外発で株主代表訴訟が起きる可能性も出てきた。

 「誠に残念ですが、日本は貧しい国になるでしょう」。

 米国家経済会議(NEC)前委員長のローレンス・サマーズ米ハーバード大学教授が23日、ニューヨーク市内の講演で断言すると、会場が静まり返った。

 米国では、震災後の落ち着いた日本の社会秩序が評価される一方で、経済の先行きが懸念されている。

 米国のエコノミストは第2四半期(4~6月)の日本の国内総生産(GDP)が
 前年比約3%減るとみている。
 その減少率の半分、1・5%分が東電「発」によるネガティブ要因。
 放射能漏れや停電が都心部の経済活動を妨げ、消費の低迷につながるという見方だ。

 経済への影響だけではない。
 コロンビア大学が22日開催した日本セミナーでは、出席した法律、経済、政治の専門家3人が口をそろえて、「東電には経営責任がある」と主張した。

 会社法を教えるカーティス・ミルハウプト教授は
 「原発の安全監督など内部統制ルールに従っていない場合は取締役責任を問える」
と指摘。
 日本政治研究のジェラルド・カーチス教授も
 「昨年メキシコ湾で原油流出事故を起こした英BPと同じ構図だ」
とする。

 経営責任はあくまで相対的な基準で問われる。
 大津波よりも高い場所に設置された東北電力の女川原発や、日本原子力発電の東海第2発電所が原子炉を安全に停止できたのに、福島第1原発だけで被害が拡大した点が問題視されている。

 原子力損害賠償法に従って、数兆円規模に上るとされる周辺地域への補償などを国が負担すれば、東電は事実上の国有会社となる可能性が高い。
 巨額赤字に伴う無配はもちろん、経営トップが退陣を迫られるのは必至だ。

 しかも、東電は昨年秋に4千億円超を株式調達したばかり。
 取締役が経営のプロとして通常期待される「善管注意義務」を果たしていなかった-として国内外の株主から代表訴訟を受ける可能性がある。

 清水正孝社長が昨年9月の記者会見で述べた「社会的貢献と収益の両立」がとも倒れとなった今、
 「(東電の)公益会社としての経営責任の果たし方、企業統治のあり方が問われている」(米公認証券アナリスト協会のロビンソン博士)
という声が高まっている。


 GDPが3%減ったくらいでは日本は貧しい国にはならない
 もっと大きく減るはずだ。
 最低で10%。
 大震災の影響はありとあらゆるところに出てくる。
 え、こんなところでというところからも。
 そこから推測されるのは間違いなく、
 「日本は貧しい国になる
ということ。
 日本が貧しい国に一直線に落ちて行くのに反して、世界予想はのうのうと、
 「たいしたことない、たいしたことない」
と言っている。
 ほんとうだろうか。


中央日報 2011.03.31 11:52:3
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=138692&servcode=300&sectcode=300

日本地震の悪材料は一時的
   世界経済の回復傾向は変わらず

東日本大地震と福島原発事故が米国および世界経済に及ぼす影響は一時的なものにすぎないという展望が出てきた。

JPモルガン首席エコノミストのマイケル・フェローリ氏は
 「福島原発事故は当初の予想よりも深刻だが、日本の悪材料は長期的に見て、想像を超える障害物として米国および世界経済の傾向を変える変数にはならないだろう」
と説明した。
 地震と津波に続く原発事故で自動車と情報技術(IT)部品の供給に支障が生じているが、時間が経てば韓国をはじめとする他国から代わりの供給が形成されるということだ。

フェローリ氏は日本の悪材料よりも大きなリスクに、欧米政府および中央銀行の緊縮政策とエネルギー価格の上昇を選んだ。
 フェローリ氏は29日(現地時間)、韓国銀行(韓銀)ニューヨーク事務所が用意したセミナーでこのように予想した。

フェローリ氏は
 「米国政府の景気浮揚政策が今年4-6月期から段階的に満了する」
とし
 「これによる衝撃が予想より大きいかもしれない」
と話した。
 続いて
 「6月に米連邦準備制度理事会(FRB)の第2次量的緩和政策が終わった後、3次量的緩和政策が出てくる可能性は10%未満と低い」
と見通した。
 また
 「米国不動産価格も今後4-5%追加で下落する可能性がある」
とし
 「ただ、住宅市場の沈滞を鉱山業の投資増加がある程度相殺してくれるだろう」
と展望した。

フェローリ氏は中国政府の緊縮の可能性や欧州財政危機の悪化も世界経済の回復傾向を変えるほどの悪材料にはならないと予想した。
 「今年1-3月期、東日本大地震、中東・北アフリカ騒乱、欧州財政危機の悪化の兆しなど予想しなかった悪材料が出ているが、景気回復傾向を変えるほどではない」
と評価した。

フェローリ氏は
 「現在の債券価格は非正常的に高い水準」
とし
 「景気回復傾向が維持され、欧米政府と中央銀行が下半期以降に緊縮政策に入れば、投資対象には債券よりも株式が有望と見られる」
と述べた。


 もちろん、銭に狂った亡者どもは自分のいいようにしか言わないが。
 「残念ですが、日本は貧しい国になるでしょう
という発言は重い。
 文脈でわかるように、これからすこしずつ日本は貧しい国になっていくということ。
 一時のダメ-ジを受けて、落ち込み回復するということではない。
 長い時のスパンで貧しい国に向かっていくということ。
 世界の誰もが日本のダメージを小さく小さく見積もろうとやっきになっている。
 正常に見積もれば、世界不況が目の前に見えてくるからである。
 「日本の地震による悪材料は一時的、世界は回復に向かっている
と思いたいのが、人情というもの。
 だが、本当にそうなるだろうか。
 そうとはまるで見えない。

 この福島原発が終局を迎えるにはあと数十年かかるという説もある。
 その間の
 人間的物的文化的社会的被害は予想を絶する

ものになる。
 端的にいうと、
 日本はそれをチャラにするまで豊かにはなれない
ということである。
 これから日本は貧しさの道をゆっくり転がっていく
 ガレキは23年分あるという。
 当局はそれを3年で処理したいという。
 できるかどうかはわからない。。
 今の日本のなすべきことは、過去の精算である。
 ガレキを片付けるように過去を精算していかねばならない。
 何をどう精算するかは今は何もわからない。
 旧来システムに則りつつ、今のそれを変えていくことになる。
 なら、今のそれと何。
 何が何だかわからない。
 わからないままに歩までばならない。
 そのなかを過ごしていかねばならない。
 日本の明日は暗い。
 明るい話題はない。
 でも10年で底を打ち、上向きに転じ、
 20年目からは頭を出してくるだろう

 未来は消えはしない。
 10年後は必ずある。
 その時の姿はどうなっているのだろうか。
 しならくの辛抱である。
 20年たつと人口も適正化して、日本民族の連帯性がまた高まってくるだろう。
 でも、向こう10年に明るい話題はない。
 この十年間を人生のメインと据えている人にとっては不運としかいいようがない。
 ジリジリと蟻地獄に足を掬われるように、落ちていく。
 でも、この時期、過去をふりかえって「失われた20年」と叫ぶ元気があるなら、10年なんて非常にわずかなもの。
 会社がつぶれて故郷に15年もひきこもっていた中年のおっさんが助けられたという話があった。
 オフクロさんがが逃げろ、といっても「もういいや」といって居座っていたのに流されながらも助かったという。
 助かったのではなく、助けられたのだが。
 本人にとってそれが幸であるか不幸であるかかは分からないが。
 
 ウエーブは下向きばかりではない。
 上向きに転じたとき、下向きの間になしたことが、新しい日本の核なっていく。
 ちょっと暗い10年だが、面白い10年である。
 ガマンガマンの10年だが、この10年に耐えられれば、怖いものはなくなる。
 豊かさというものが、いかにはかないものかも、生活のなかで実感できるだろう。
 その儚さを実感できることが、明日の日本の芯になっていく。
 この10年は、暗く苦しいが、面白い10年でもある。
 決して、見栄晴を見てはいけない。
 強いていえば、やはり
 「ビンボー貧乏、みんなで凌げば怖くない
 「ガマン我慢、みんなで耐えれば怖くない
ということになるのであろう。





== 東日本大震災 == 



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アジアの原発は(2)

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● Wikipedia より




中央日報 2011.03.31 14:51:13
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=138697&servcode=300&sectcode=320

韓国原発21基、冷却機能に不安点

マグニチュード9.0の大地震と14メートル以上の津波。
 それによる電源喪失、そして水素爆発に続く大規模な放射性物質漏れ。

日本福島原発が11日から迎えている状況だ。
 韓国原発がこれほどの大地震と津波に直面すれば、どれほど耐えられるのか。
 専門家のシミュレーション結果は
 「福島原発事故は決して他人事でない」
ということだ。

延世(ヨンセ)大学の趙元喆(チョ・ウォンチョル)教授(社会環境システム工学部)は
 「結論からいうと、韓国の原発も福島原発が直面したほどの津波にはいかなる防備もできていない」
と述べた。
 別の専門家は
 「原発内の電気供給が中断してしまえば、福島原発のような事態が起きないとは言い切れない」
と語った。

現在、韓国で稼働中の原発は計21基。 うち古里(コリ)1・2号機と月城(ウォルソン)1号機の3基は、世界原発史上初の大型事故として記録される米スリーマイル原発事故(1979年)より前に設計された。
いわば
 「原発は安全で炉心が溶融する大型事故は発生しない」
と信じて建設されたといううことだ。

韓国水力原子力のカン・シンホン安全処長は
 「古里1・2号機と月城1号機の3基については、スリーマイル事件で教訓を得た米国の勧告を受け、52項目にわたり大々的な補完作業を行った」
と説明した。
  しかし専門家らは、稼働中の原発は根本的な部分まで補完することはできないため、最新の原発に比べると安全レベルが落ちると指摘している。

専門家が最も心配している部分は完全停電だ。
 福島原発とは違い、国内原発21基はすべて電気なしに数日間は原子炉を冷却できるシステムを備えている。
  しかし有事の際、このシステムがどれほど役立つかは明確でない。

韓国水力原子力によると、国内の原発は蒸気タービンの力で回る非常ポンプがあり、電気の供給が中断しても原子炉の冷却水を循環させられる。
  またこのポンプが作動しなければ、原子炉より高い位置にある非常水タンクから高さの差を利用して水が自動で原子炉に供給されるようになっている。
 こうした装置は福島原発より発展した安全システムだ。

問題は、電気が相当期間復旧されなければ、蒸気タービンによって稼働するポンプも機能しなくなるという点だ。
 高さの差による給水も、2次冷却水供給管の内側の圧力が高い場合、水が本当に入るかどうか確認しなければならない。

事故に対応して設置しておいた非常発電機が原発の建物の1階にあるという点も問題だ。
 津波が押し寄せれば浸水する可能性が高い。

水素爆発も同じだ。
  韓国水力原子力側は
 「21基ともに水素ガスを除去する装置が設置されている」
と説明する。
  しかし福島原発のように短時間で水素ガスが急増する場合、水素除去装置が機能するかどうかについては、専門家らも疑問を表している。
  もう一つの古里原発と新古里原発の2つを除いた残り原発の水素除去装置は電気で作動する。
 電気の供給が中断すれば意味がないということだ。

福島原発のように炉心が溶ける最悪の状況については、国内原発は比較的優れた防御装置を備えている。
 古里1・2号機と月城1号機の3基を除けば、原子炉内で溶融物が薄く広がり、冷却しやすく設計されているからだ。
 こうした設計が行われていない3基は福島原発のように非常時に炉心冷却に苦戦する可能性がある。


 韓国で、
 マグニチュード9.0の大地震と14メートル以上の津波
を想定することは考え過ぎ。
 まず、ありえない。
 日本は大陸プレートに位置していたからこそなったといっていい。
 もし、韓国がそこまで心配して、
 安全性について気をつかうなら、原発はとりやめたほうがいい。 
 韓国の技術力ではちょっとというより、相当に無理があるように感じられる。


朝鮮日報 記事入力 : 2011/03/31 11:25:23
http://www.chosunonline.com/news/20110331000045

東日本巨大地震:韓国が原発専門家を派遣できないワケ
米国とフランスはすでに派遣、隣の韓国は…

 日本の福島第一原子力発電所で発生した事故対応に協力するため、米国とフランスは専門家を派遣して共同で作業に当たっている。
 米国は当初から原子力規制委員会(NRC)の専門家を派遣したほか、エネルギー省の担当官40人以上を追加で派遣した。
 フランスも高濃縮液体放射能処理の専門家2人を日本に派遣している。
 しかし、日本のすぐ隣に位置し、事故の影響も米国やフランス以上に受けやすい韓国は、専門家を1人も派遣していない。
 韓国の原発技術はフランスや日本に劣らず、技術力が低いとは考えられない。

 教育科学技術部(省に相当)は日本で地震が発生した翌週、外交経路を通じて韓国政府も専門家を派遣する意向があることを日本側に伝えた。
 しかし、日本政府からはこれまで何の回答も寄せられていない。

 ソウル大学の黄一淳(ファン・イルスン)教授は
 「福島第一原発での事故について全体的に資料を収集し、事故に備える絶好の機会だ。
 日本での事故対応に参加できれば、原発事故に対する高度な対応力を備えた人材を多く養成できる」
と語る。

 政府は国際原子力機関(IAEA)が専門家を派遣する場合、これに積極的に参加する方針だ。
 現在、日本では原子力安全技術院のチョン・ギュファン博士が活動しているが、これは原発事故への対応ではなく、日本に在住する韓国人の安全問題など、在日韓国大使館の諮問的な役割にとどまっている。

 教育科学技術部原子力安全課のペク・ミン課長は
 「こちら側から一方的に専門家を派遣するわけにはいかない」
と語る。
 日本政府が受け入れを表明していない段階で人材を派遣しても、現地での活動に必要な協力は期待できないからだ。
 ペク課長は
 「日本は沸騰水型軽水炉、韓国は加圧水型軽水炉と原子炉のタイプが異なるため、日本政府としては、韓国側の支援は期待できないと考えているようだ」
と述べた。

 これに対して漢陽大学のチェ・ムソン教授は
 「福島第一原発事故の最も大きな原因は炉心のタイプとは関係なく、設計段階での欠陥、政府による規制の失敗、事業者の判断ミスなど、韓国でも十分に起こり得る要因だ」
と指摘する。
 韓国で同様の問題が発生すれば、日本も被害を受けることは避けられず、また 1979年に米国のスリーマイル原発で事故が発生した際、日本も20人の専門家を派遣して対応を研究したことなどから、韓国も日本政府を積極的に説得すべき、というのがチェ教授の主張だ。
 黄一淳教授は
 「原発で事故が発生した場合、当事国と隣接する国(25キロ)に情報公開の義務を定めたIAEAの規定を前面にアピールし、韓国も日本に対して国際的な協力を求めるべきだ」
と主張した。


 これ、ないものねだり。
 いま、世界の原発の最高技術者は日本とフランスとアメリカにいる。
 アメリカはスリーマイル事故を起こし、その後の検証で事故ノウハウを持っている。
 何しろ原子力潜水艦や原子力空母を持っている国で、レベルが一桁違う。
 フランスは電力の70%を原発で賄うため、事故に対してはさまざまなシュミレーションをしてそれに対応する設備装備を持っているという。
 この2カ国以外に、原発安全性に関するノウハウを持っている国は世界にはない。
 もしこの2カ国の技術者がお手上げしたら、
 日本はメルトダウンの穴に沈んでゆく
こととになる。
 韓国の技術者が学習のため行きたがるのはわかるが、いまはちょっと日本に受け入れる余裕はないだろう。
 来てもらっても足手まといになるだけに過ぎない。
 もう少し待って、見通しがついてからにしてください。



サーチナニュース 2011/03/31(木) 17:44  
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0331&f=national_0331_176.shtml

中国で原発事故なら3日で韓国に放射性物質

  韓国原子力安全技術院は29日、東アジア長距離大気拡散モデルに関する研究開発先行研究」と題する報告書を国会に提出した。
 報告によると、シュミレーションテストの結果、中国中西部の原子力発電所で事故が発生した場合、流出した放射性物質は3日で朝鮮半島に拡散することが判明した。
 台湾中央訊社(中央社)が伝えた。

  同技術院が2009年に実施したシュミレーションテストによると、放射性ヨウ素131が中国寧夏回族自治区銀川市で12時間にわたり流出した場合、偏西風に乗ったヨード131は、
 3日後に黄海に面した朝鮮半島西海岸に、
 4日後に朝鮮半島全体、
 6日後に中国北京や日本の北海道に到達するという。

  放射性物質ヨウ素131は、ウランやプルトニウムと同じく核分裂で発生する産物のひとつで、半減期(放射性同位元素が崩壊して元の数の半分に減る期間)は比較的短く8.05日。
 通常、呼吸器を通じて人体に吸収され、甲状腺に集まる。





[◆ その後の話]


記事入力 : 2011/04/01 09:18:46
http://www.chosunonline.com/news/20110401000021

東日本巨大地震:韓国人専門家の受け入れ拒否に「無責任」の声

 福島原子力発電所で事故が発生し20日余りが経過したが、日本が事態収拾に韓国人専門家を参加させないことについて、
 「日本は唯一の隣接国である韓国に対し、あまりにも無責任なのではないか」
という批判の声が巻き起こっている。

 人体に影響を及ぼすほどではないが、既に韓国内8カ所で放射性物質のキセノン・ヨウ素・セシウムが検出されている。
 福島原発から漏れ出た放射性物質が海水に溶け、海流に乗り韓国周辺の海洋生態系に影響を及ぼすかもしれないという懸念が取りざたされ、韓国国民の不安は高まっている。
 26日から慶尚南道統営市で開幕した「2011統営国際音楽祭(TIMF)」で、これに参加する予定だったオーストリアのオーケストラ団は
 「日本の放射線による恐怖があるため、(日本と近い)韓国での公演をキャンセルする」
と通知してきた。
 韓国が日本と近いという理由だけで「危険国家」扱いされたということだ。

 それにもかかわらず、日本政府は米国やフランスの専門家は受け入れながらも、韓国人専門家の入国を受け入れていない。
 外交部(省に相当)関係者は
 「日本は韓国人専門家が事態収拾の助けにならないと判断した可能性もあるが、韓国は既に日本の原発事故によりかなりの影響を受けているのだから、十分な情報を提供するのが隣国としての道義的責任」
と話している。


 なんともすごい理論。
 論理がメチャクチャ。
 日本が国難に落ちいているときに、ただただ自己の我を通そうとする。
 今の日本は事故を勉強する「原発災害学校」ではないのだ。
 その程度のことも理解出来ないのだろうか。




== 東日本大震災 == 



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同情するから、土地をくれ

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● boston.com より



 「ミステリー国家・日本」という記事がある。
 これを読んでみると、むかし流行った言葉を思い出す。
 「同情するから、土地をくれ
 なんと、薄ら寒いほど単純な発想。
 「同情すると、相手から何でも手に入れられる」と思っているのだろうか。
 「ミステリー国家、韓国」になってしまう。


朝鮮日報 記事入力 : 2011/03/31 10:40:36
http://www.chosunonline.com/news/20110331000036

【コラム】ミステリー国家・日本と付き合う方法

 日本の津波被害をめぐりわれわれの間で話題となったのは「日本ミステリー」だ。
 世界で最も豊かな国で被災者が食べるものに困り、車のガソリンが途絶え、救援物資を運べないという信じ難い状況が生じたからだ。
 政府の無能さと判断ミスが放射能漏れを最悪の事態に追い込んだにもかかわらず、日本の国民は沈黙したままだ。
 われわれの目に映る日本は謎そのものだ。

 日本政府が地震被害の対応に追われる中、日本の文部科学省が教科書の改悪を強行したことに対し、韓国では後ろから殴られたような思いだという反応が相次いでいる。
 われわれは世界のどの国よりもいち早く数十万人が日本支援の募金に乗り出し、心から声援を送った。
 それにもかかわらず、日本は独島(日本名・竹島)を自国領だと主張し、植民地統治が「近代化に寄与した」と表記するなど教科書を通じた挑発に及んだ。
 そのため韓国の人々は、日本とはいったいどんな国なのかと首をかしげている。

 しかし、日本は元々そういう国だ。
 もしや日本の考えが変わるのではないかとわれわれが過剰な期待を寄せたにすぎない。
 日本は自民党政権時代の 2008年に行った教科書指導要領の改訂で、教科書の改悪を決定していた。
 今回の検定結果はそれに従った予定通りの手順だ。
 日本の大衆が韓国ドラマや韓国の女性アイドルグループに熱狂している一方で、支配層の歴史認識は変わらなかった。

 われわれの感覚で日本を見ると、錯覚しがちなケースが多い。
 韓国による日本支援に、日本社会は謝意を示した。
 韓国に感謝する日本の気持ちは本心だと信じる。
 しかし、だからといって、日本が教科書問題で譲歩すると期待したとすれば、甘すぎる考えだ。

 韓国と日本の社会の気質は、意外にも大きく異なる。
 韓国では「表と裏が異なる」というのは致命的な悪口だ。
 しかし、日本は本音と建前を当然視する。
 日本にとって、韓国による災害支援と教科書問題は別なのだ。

 日本は典型的な「鉄道型社会」だ。決まった路線に従い、共同責任と集団リーダーシップで動く。
 路線の建設には多くの費用と時間を要するが、一度鉄道を敷いてしまえば、その威力を発揮する。
 列車が一度に数百人を運べるように、国民的エネルギーを一方向に結集させることもできる。
 日本はこうした規律を基に 20世紀を風靡(ふうび)した。
 20世紀前半は暴走機関車のように帝国主義に走り、第二次大戦後は新幹線のように成長街道を突っ走った。
 しかし、このシステムの致命的な弱点は柔軟さを欠くことだ。
 決まった時刻表に従い線路を走る鉄道は、状況が変わった場合、たやすく方向転換できない。

 教科書の改悪も、日本という列車が「保守化」の線路を走った結果だ。
 2008年に教科書指導要領を改訂した自民党を軸とする日本の保守支配層は、1980年代以降、絶えず教科書の改悪を試み、歴史認識を過去に逆戻しする作業を進めた。
 日本は敗戦後にも軍国主義勢力を清算できないまま引き継いだ。
 今回の検定結果は、そうした支配層のどうすることもできない保守本能が教科書に表れた格好だ。

 民主党に政権交代し、日本は変わると期待したのも誤算だった。
 日本という巨大な列車は、政治指導者が数人変わってもすぐには方向を変えられない。
 民主党政権がいくら韓国との友好を掲げ、首相夫人が「キムチは最高だ」と叫んだところで、日本の本質は変わらない。

 日本と隣人として付き合う上で最大の条件は過度の期待を捨てることだ。
 日本が少しずつ変わることを信じているが、その速度はイライラするほど遅いはずだ。
 われわれは焦らず、興奮せずに日本を説得し、圧力を加え、長期戦に持ち込むしかない。


 領土問題なんて、ゼロ・イチのデジタル思考で方のつくものではないということは、国というシステムを考えれば当たり前にわかること。
 境界線あたりにある土地はいつも国境紛争となることは歴史をみれば、一目瞭然。
 たとえば、竹島は日本と韓国が領有権を主張していていい。
 実行支配しているのは韓国であることは現実。
 それなのに、
 「東日本大震災に同情してやるから、領土主張を引っ込めろ
とくる。
 どうなっているのだろう、この国は。
 「同情」という言葉で何でもかんでもことがおさまるというのだろうか。
 第一、
 東日本大震災と領土権とどういう関わり合いがある
のだろう。
 これがさっぱりわからない。
 まさに、
 ミステリー国家、韓国
である。
 放射能が飛んできて被害が出たから保証しろ、というのなら少しはスジがある。
 でも、
 オマエんとこで地震があったから、領土主張を取り下げろ
というのは、どうにも不思議な論理である。
 第一、今度の地震で竹島に被害が出たなんて、コレッポッチも聞いていないのだが。
 この民族の論理構造は底知れぬミステリーである。

 そのうち
 「ミステリー国家、韓国と付き合う方法
といったタイトルで、外務マニュアルが配布されるかもしれない。
 この国は底知れぬ不可解な国である。
 ああ、そういえば日本にも
 「風吹けば、桶屋が儲かる
という思考方法があった。
 もしかしたら、これかもしれない。
 でもこれ、落語。
 お笑い。
 お笑い国家、韓国
ということでもあるまい。
 もうすこし、論理のある主張をして欲しいものである。
 国民感情が左右に上下に揺れるのはあって当然のことである。
 だが、論理は論理である。
 同情するから、土地をくれ
では、お話にはならないのではないだろうか。

 日本側からいえば、
 「人の災難につけ込んで、火事場泥棒をするな
ということになる。






== 東日本大震災 == 



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メルトダウンは(18)

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● 5号機、6号機も廃炉へ


 やはり、5号機、6号機も廃炉になった。
 7号機、8号機は計画中であり、2013年の運転開始の予定であるが、これもストップになるだろう。
 福島第一原発はこれで日本から消えていく。


テレ朝news 20113年03月31日 05:50
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210331004.html

【原発】「5・6号機も廃炉」枝野官房長官(03/31 05:50)

枝野官房長官は福島第一原発の5号機と6号機について、「客観的状況ははっきりしている」として、廃炉すべきだとの見解を示しました。

 枝野官房長官:
 「(Q.1号機から4号機については東京電力も廃炉ということでおっしゃっていますし、5号機、6号機については)客観的状況として、ある意味でははっきりしているんじゃないかと私は思っておりまして、私から改めて申し上げるまでもない」

 福島第一原発をめぐって、東京電力の勝俣会長は、1号機から4号機は廃炉にせざるを得ないという認識を示していますが、枝野長官は、5号機、6号機についても廃炉すべきだという考えを示しました。
 一方、事故への対応で、海江田経済産業大臣は、一部の作業員の拠点を自衛隊や消防の前線基地となっている福島県広野町の施設に置く体制にしたことを明らかにしました。
 これで自衛隊などと連携した機動的な運用が可能になり、作業の効率性アップが期待されます。



 原発廃止への動きが急速になってきている。
 といってもあたりまえのことを確認していく作業だが。
 どうやってもても、増設計画なんてみとめらるわけがない


東京新聞 2011年3月31日 16時16分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011033101000463.html

首相、原発増設の白紙化表明 福島第1の全廃炉も

 菅直人首相は31日、共産党の志位和夫委員長と官邸で会談した。
 志位氏によると、首相は福島第1原発事故を踏まえ、2030年までに原発を現状より14基以上増やすとした政府のエネルギー基本計画について「白紙で見直すことを検討する」と表明。
 福島第1原発の1~6号機すべてに関しても「廃炉にしないといけない」との認識を示した。

 経済産業省によると、日本では現在、54基の原発が稼働。
 政府は昨年6月、温室効果ガスの排出削減目標の実現に向け14基以上原発増設を柱としたエネルギー基本計画を閣議決定した。




時事.com 2011/03/31 17:06
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2011033100764

汚染水対策続く=冷却装置、復旧目指し-福島第一原発

 東京電力は31日、1~4号機の冷却装置復旧と放射性物質を含む汚染水の流出防止を目指す作業を続けた。
 タービン建屋地下の汚染水は、まず3号機のタンクを確保。
 同建屋地下から海岸方向に延びる配管トンネルでは、1号機で汚染水があふれるのを防ぐため送水が行われた。
 建屋地下の汚染水は、発電タービンを回した蒸気を冷やす「復水器」に、ポンプで回収する方針。
 しかし、2、3号機は既にほぼ満水で、1号機も29日の送水途中でいっぱいになった。
 このため、復水器の水を移す「復水貯蔵タンク」の水を、先に原子炉圧力抑制室用の水タンクに移しておく作業が行われ、3号機で31日午前に完了。
 2号機では29日午後、1号機でも31日午後に始まった。

 一方、1号機の地下配管トンネルとつながっている海側立て坑では、低濃度の汚染水の水位が地上近くまで上昇。
 31日午前、本来は固体放射性廃棄物用の貯槽に約150立方メートル分を移して水位を1メートル程度下げた。
 タービン建屋には、原子炉や使用済み核燃料プールの本来の冷却装置を復旧させるのに必要な電源機器やポンプがある。
 1~4号機の放水口付近では、30日午後に採取された海水から国が定めた濃度限度の4385倍の放射性ヨウ素131を検出。
 外部流出を防ぐ上でも東電は汚染水の回収を急いでいる。




JCASTニュース 2011/3/31 19:18
http://www.j-cast.com/2011/03/31091843.html

「海へ流す」とどうなるか 原発汚染水処理と国際世論

福島第一原発の汚染水処理が大きな課題となっている。
 原子炉や燃料プールへ水を循環させ冷やす作業を本格化させるのに深刻な障害となっているのだ。
 施設内のタンクへ汚染水を移す作業が始まり、タンカーを近づけて汚染水を移す案も検討されている。
 
 「海へ放出」というのは無理なのだろうか。

「このまま行けば、大量の放射能を海など外の環境に投棄せざるを得なくなる」。
 2号機タービン建屋から地下を通って海側の陸地表面までつながっているトンネルにたまった水から毎時1000ミリシーベルト以上の強い放射線が測定されたことを受け、2011年3月29日付朝刊で、朝日新聞は汚染水処理問題について、こう懸念を指摘した。

■「タンカーへ移す」案も

トンネルは、「トレンチ」と呼ばれ、水用配管や電線などが通っている。
 2号機だけでなく1号機、3号機にもある。
 2号機トンネルの場合、縦に 16メートルの深さ、地下水平に約75メートルの長さがある。
 ほぼ満水で、水量は6000立方メートルに及ぶという。
 1~3号機のトンネル内汚染水だけでなく、タービン建屋内にたまった汚染水も処理する必要がある。

3月31日午前現在、1号機のトンネルの汚染水を貯水タンクへ移すなどの作業が行われている。
 しかし、建屋内も含めた汚染水は、原子炉を冷やすための注水がもれたものである可能性や、燃料プール冷却のための放水が流れてきたものとの指摘が出ており、かつ冷却作業はやめるわけにはいかないことから、汚染水は今後増える懸念もある。
 内閣府の原子力安全委員会は3月29日、汚染水処理にタンカーを利用することも考慮に入れる必要があると指摘した。

タンカーを政府が借り上げて原発近くに停泊させるか接岸させるかして、ポンプで汚染水を移すというアイデアだ。
 しかし、作業員の安全確保などの問題から慎重な意見も出ている。
 土を掘って池をつくり、そこに汚染水を流し込む案も出ているが、地下にしみださない処置などの手間を考えると時間がかかりすぎるという指摘もある。

■かつてロシアがバッシング受けた理由

「緊急性」を重視するならば、3月29日の朝日新聞が懸念した「海へ放出」という選択肢が現実味を帯びてこないだろうか。
 3月31日には、第 一原発排水口から南約330メートルの海水から基準の4800倍を超える放射性ヨウ素131が検出されるなど、すでに海から高い数値が何度も出ている。
 その度に経済産業省の原子力安全・保安院は「海流で拡散される」「相当薄まる」と「安全性」を強調している。

一方で同院は3月29日夕、汚染水処理について、
 「そのまま海に放出することはない」
 「最悪の場合の想定(海へ流す)も考えていない」
と会見で明かした。

「海へ放出」について、国際世論の動向との関係を指摘するのは、元外交官で作家の佐藤優氏だ。
 3月29日更新のブログ「佐藤優の眼光紙背」で、1993年にロシアが「国際原子力機関(IAEA)の規則通り
 「低濃度の放射性液体物質」を海に投棄した例を挙げ、ロシアが国際的にバッシングを受けたと指摘。
 その上で、日本政府に対して
 「ダメージコントロールについて、政治主導できちんと考えておく必要がある」
と、仮に汚染水を海へ流すことになった場合の国際世論への対処について注文をつけている。

2010年3月31日、政府が汚染水を貯蔵し処理する新たな施設を福島第一原発敷地内につくる案について、「方針を固めた」「検討を始めた」などと報じられた。



 もはや、自国の能力では解決できない事態に陥っている。
 メンツもなにも捨ててかかっている。


サーチナニュース  2011/03/31(木) 18:51  
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0331&f=national_0331_209.shtml

原発問題で日本が米国と仏に支援要請「自尊心を捨てた」=韓国

  東日本大震災による福島原子力発電所の放射性物質漏えい事故で、深刻な状況に陥(おちい)った日本が、原発問題の解決のために米国とフランスに助けを求めたことが分かった。
 韓国の複数メディアは同件に注目し、
 「原発事故で危機に陥った日本が一歩遅れて世界各国に助けを求めている」
と相次いで報じた。

  菅直人首相は30日、米国のオバマ大統領との電話会談で、東日本大震災の発生以来、米国の全面的な支援に対する謝意をあらわすとともに、福島原発事故に対応するため、引き続き米国の支援を得ていきたいとの考えを示した。

  福島原発事故当時から米国は手助けの意志を表明したが、日本政府は一貫して断っていた。
 韓国メディアは、日本政府が態度を変えたのは日本国内の原発事故による被害状況が予想以上に深刻な状況だという事実を反映していると指摘した。

  一方、31日にはフランスのサルコジ大統領も日本を訪問し、福島原発事故への対応や技術的な支援などについて、菅首相と首脳会談を行う予定だ。

  韓国では、
 「日本が自国の技術力に対する自尊心を捨てて他国に支援を要請している」
と伝えるメディアもみられた。
 同メディアは、日本政府が福島原発問題について日本だけの力では解決しがたいと判断し、原発大国である米国とフランスに助けを求めたとの見方を示した。




FNNフジニュースネットワーク 2011年03月31日 17:29
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00196386.html



 アメリカ海兵隊の放射能の緊急事態対応専門部隊が日本に派遣されることになった。
 防衛省の折木統合幕僚長が明らかにしたもので、アメリカのゲーツ国防長官の承認が下りて、アメリカ海兵隊の化学生物放射能の専門部隊およそ140人が日本に派遣されることになったもの。
 この部隊は、福島原発に緊急事態が生じた場合の対応を行う予定で、当面は自衛隊と情報交換や現地の視察を行い、日本で緊急時に備えることにしている。






== 東日本大震災 == 



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2011年3月30日水曜日

日本発、津波世界不況(2)

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● boston.com より



サーチナニュース 2011/03/30(水) 17:42  
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0330&f=business_0330_208.shtml

日本の大震災が世界の自動車業界に波及、30%減産か

 日本の震災が世界各地の自動車メーカーを減産に追い込んでいる
 ゼネラル・モーターズは損失を最小限に抑えるため、ルイジアナ州にあるシェリーブポート工場の部品をカンザス州の組み立て工場に移し、「シボレーマリブ」と「ビュイック・ラクロス」など利益の高いモデルの生産に回している。
 中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

  23日より、フランスのプジョーシトロエン(PSA)は一部の工場の生産を停止した。
 吸入空気量センサーの不足により、プジョーシトロエンがスペインにもつマドリード工場、ビーゴ工場、フランスのポワシー工場、オルネ―工場、スロバキアのトルナヴァ工場の操業率は40~50%まで落ち込んだという。

  マツダ自動車の中峯勇二常務執行役員は、同社のタイ工場は日本からの部品供給情報を待っているところであり、バンコク付近の工場では生産速度を落としていると明らかにした。

  「フュージョン」「マーベリック」「MKZ」などを生産するフォードのハイブリッド自動車工場では、日本のメーカーから調達するバッテリーが不足している。
 部品メーカーは地震の影響をうけなかったが、交通と物流が短期間内に回復する見込みは低く、フォードは代理のサプライヤーを探し始めている。

  トヨタ自動車は23日、日本の地震により一部の自動車部品が調達が不足したため、北米にある全工場の生産を縮小すると発表した。
 日本製の部品への依存度が高いメキシコは、基盤産業が深刻な事態に直面している。
 在庫不足により、ホンダはメキシコのハリスコ州にある工場の従業員の半分をレイオフするという。

  インド、タイ、韓国、ドイツなどの自動車業界のグローバル化が進む国では、自動車産業が縮小の危機に直面している。
 米調査会社IHSオートモーティブのチーフアナリスト、マイケル・ロビネット氏は、
 「世界の自動車メーカーは4月中旬まで地震による影響をうけるとみられる。
 また、シリコンチップ、LCD、ICチップ、高強度鋼材、化学品の不足
 自動車業界に影響をもたらす」
と分析した。
 マイケル・ロビネット氏は、日本の大地震がもたらした部品不足により、
 世界の自動車業界の生産は約30%落ち込むと予測している





サーチナニュース 2011/03/30(水) 15:37  
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0330&f=politics_0330_016.shtml

日本の軍事力が大地震と津波で深刻な被害を受ける=中国

  大地震発生後、日本の自衛隊は災害救援活動の主力となっている。
 しかし、震災、津波、原子力事故など同時多発災害により、日本の陸上自衛隊の5集団のうち1つの集団が被害にあり、日本の総体的な軍事潜在力に深刻なダメージを受けている。
 中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

  ▼日本の陸上自衛隊大地震で5分の1が被害

  松島基地に配備されていた第4航空団などは大津波の来襲を受け、建物の2階以下がすべて海水に浸かった。
 松島基地にあったF-2戦闘機18機、T-4練習機4機、UH60ヘリコプター4機を含む戦闘機28機が沈没した。

  津波があまりにも速く襲ってきたため、戦闘機を移動したり、離陸して避難することもできず、一瞬にして浸水してしまった。
 すでに海水は引き、航空基地では片づけが始まったが、防衛省は28機の戦闘機が損傷し、修理がきわめて困難で、使えない可能性があることを懸念している。
 特にF-2型戦闘機 18機と一部の機種は「半永久的」な損傷がみられ、1機あたり1億ドルという極めて深刻な損失を被ることになる。

  総体的な軍事力も深刻なダメージを受けている。大地震は日本の軍事力全体に大きな影響を与えた。大地震発生後、航空自衛隊は宮城県の松島基地は一瞬にして地震によって引き起こされた津波に飲み込まれ、第4航空団第21飛行隊の複座型F-2B訓練機18機のほか、第11飛行隊のT-4訓練機、U-125A救難捜索機、UH-60J支援ヘリコプターが水に浸かり廃棄処分となった。

  陸上自衛隊の5集団のうち1つの集団が被害にあった。
 仙台の近衛第2師団に配備されている90式戦車を含む多くの装甲車が海水に浸かり、使用できなくなった。
 また、福島県と岩手県の陸上自衛隊の基地も地震による深刻な被害にあった。

 日本の弾道ミサイル防御システムも大きな被害に遭ったのではないかと見られている。

 形の見える軍事力の損傷よりも、日本の軍事力を支える基礎工業の被害状況のほうが甚大なようだ。
 日本政府の説明によると、今回の地震による影響はもっとも工業が発達し、
 原子力エネルギー
 自動車

 鉄鋼

 石油化学

 複合材料

 電子

 特殊ガラス

 エンジン

 ミニアチュア軸受

などの工業が集中している「京浜工業地帯」に波及しているという。




サーチナニュース 2011/03/30(水) 16:19  
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0330&f=business_0330_192.shtml

震災における被害、中小企業の80%以上が直接・間接的にある。

 東京中小企業家同友会は震災による経営への緊急影響調査の結果を発表した。
 多くの企業が、直接、もしくは間接的被害を受けているようだ。

 今回の調査は、製造、卸売、小売、サービス業など2100社を対象に行い、301社の幅広い業種より回答を得たという。
 そのうち、直接被害を受けたのが21.6%、間接被害を受けたのが58.8%、被害を受けていないと回答したのは19.6%と20%を下回る結果となった。
 また、直接被害を受けた企業の具体的な被害内容は、ガラスや備品の破損、社屋の半壊をはじめ、営業、サービス停止による赤字などが多く寄せられた
 。間接的被害では、計画停電による業務の停止および遅延、顧客や取引先の減少、工場の備品不足や機械不調による納期の延長や発注キャンセルの続出、ガソリン不足による業務への被害などが挙げられている。
 中には、社員の出社への影響や、外国人労働者が帰国してしまったことから起こる人員不足も発生しているようだ。

 また、今回の震災で行政に希望したいことも調査した。
 その結果、計画停電への配慮や早急な復興計画の開示、原発問題やガソリン不足などに関する正確な情報の提供が多く寄せられている。

 今回の東北地方太平洋沖地震をきっかけに倒産の危機を迎えている企業も少なくない。
 今後の被災地復興には多大な資金が長期的に必要となってくることが考えられるが、そのためには日本経済の活性化が必要といえるだろう。
 経済を明るくするためにも、一刻も早いこれら企業の通常営業が重要と考えられる。



 では日本の大企業はどうみているのか。


【共同通信】 2011/03/30 19:06
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011033001000992.html

企業の7割が景気「後退」と回答 
大震災影響、主要社調査で

 共同通信社が30日にまとめた主要企業101社を対象にした緊急アンケートで、景気の先行きについて回答した69社のうち「緩やかに後退する」「後退する」との回答が計47社(68%)と約7割を占め、東日本大震災の影響で景気が悪化するとの悲観的な見方が広がっていることが鮮明になった。

 福島第1原発事故や電力不足を含む大震災の影響が国内景気や企業業績にマイナスに作用する期間は「1年程度」が13社と最も多く、経済の停滞が長期化するとの懸念が強まっている。

 景気の先行きは「拡大する」との回答がなく、「緩やかに拡大」6社、「横ばい」も16社にとどまった。
 「緩やかに後退」は22社、「後退」は25社だった。

 「震災や電力不足の影響が見通せない」(電機)として、回答を保留するなどした企業も32社に上り、被災した生産拠点などの復旧を急ぐ中、大震災や原発事故の影響度合いを測りかねる姿も目立った。

 前回調査(2010年末、110社)の景気見通しは「横ばい」が75社、「緩やかに拡大」が27社で、「緩やかに後退」「後退」は計7社に過ぎなかったが、大震災を境に企業の景況感は一変した。

 また、景気や業績への影響が半年以内で収まるとみる企業が15社だったのに対し、1年以上を見込む企業は22社。
 このうち被害が大きかった製造業や運輸などでは5社が「3年以上」と答えた。

 震災の事業への影響は「顧客や契約先の被災」が34社と最も多かった。
 自動車や電機などの製造業では「材料や部品の不足」(26社)を選ぶ企業が目立った。
 工場や取引先部品メーカーの被災だけでなく、計画停電の影響で材料や部品の供給が滞る現状に強い危機感が示された形だ。

 原発事故の対応に追われる東京電力は
 「事態の悪化防止と、一日も早い電力の安定供給に向け、全力を尽くしたい」
として、多くの質問で回答を保留した。

 アンケートは大震災の発生から約2週間後の3月下旬に実施した




ロイター 2011年 03月 30日 17:21 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20339720110330

自動車の生産正常化には数カ月、震災で部品供給が不透明

 [東京 30日 ロイター] 国内自動車メーカーの生産が正常化するまで数カ月を要するとの見通しが強まってきた。
 東日本大震災がサプライチェーンに与えた影響はかつてない範囲に広がっており、地震発生後、すべてのメーカーが国内工場での本格的な生産を再開できずにいる。

 仮に部品調達にめどがたち、通常の生産プロセスに戻っても、計画停電や原発問題の影響で、生産量は地震前の状態には戻らない可能性もある。
 一部アナリストからは、国内生産の正常化までには6カ月程度を要し、大手3社の2012年3月期上期決算は赤字に転落するとの見方も浮上している。 

  <主要メーカーの上期は営業赤字の見通しも> 

 日本自動車工業会によると、震災の被害を受けた部品メーカーは500社程度ある。
 自動車は2万─3万点の部品から構成され、一つの部品の供給が不足しただけでも生産がストップする。
 07年の新潟県中越沖地震の際にはエンジン部品を手がけるリケンの工場が被災し、国内の完成車メーカーの操業が数日間にわたって休止に追い込まれた。
 ただ、今回のように自動車産業全体で2週間以上も生産を停止するのは極めて異例。
 2次、3次サプライヤーを含めてはるかに広い範囲に震災の影響が及んでいるのが過去との大きな違いだ。 

 トヨタ自動車は東日本大震災の影響でゴム、樹脂、電子部品など約500品目の調達に支障がでている。
 在庫部品などを活用しハイブリッド車(HV)3車種の生産を28日から再開したものの、大半の車種について生産の再開時期はみえない。
 同社は在庫部品に頼った生産ではなく、サプライヤーからの供給をベースとする生産について
 「5月の連休明けになるのを見越して社内の準備を進めている」(金融筋)
としているが、調達に支障がでている品目が多いだけに、全車種で生産を完全に再開できるかは不透明だ。 

 日産自動車はカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)が29日、復旧作業中のいわき工場(福島県いわき市)を訪問。
 同工場について
 「遅くとも6月初めにはフル生産にもっていきたい」
と述べたが、裏を返せば4、5月中は地震前の状態には完全に戻らない可能性があるとも受けとれる。
 いわき工場は「フーガ」など高級車向けのエンジンを手がけており、同工場の生産が滞れば利幅の大きい高級車の生産に影響する。 

 多くのアナリストは復旧作業の進ちょくや生産再開後の状況が不透明として自動車各社の業績予想を出しにくいとしているが、ドイツ証券のアナリスト、サンガー・カート氏は25日のリポートで、国内自動車メーカーの生産が正常化するまで6カ月かかると想定。
 減産などの影響で12年3月期上期に
 トヨタが2990億円
 ホンダは890億円、
 日産自は1620億円
営業赤字に転落すると予想した。  

 また、同リポートでは
 「4月の生産は国内外の在庫で対処されるだろうが、5月から6月にかけて供給がひっ迫してくると、より深刻な問題に直面する可能性が高い」
と指摘。
 実際、すでに在庫部品で対応していた海外では影響も出始めている。
 ホンダは北米域内の部品調達率は8割程度と他社と比較しても高水準だが、エンジン部品や電装系部品などの一部は日本から輸出している。
 現在、ホンダは海外組立用の部品の輸出を停止しており、30日からは米国とカナダの4工場で生産を縮小することも明らかにした。 





== 東日本大震災 == 



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最新原発なら福島事故は無い?


● 福島第一原子力発電所で冷却作戦を展開、破壊された4号機に放水する防護服の作業員たち(3月22日撮影)。
 新しい世代の原発設計では電源喪失時の冷却に「受動的安全システム」を採用しているが、まだ実際の運用数は少ない。




ナショナルジオグラフィック 2011年03月25日 18時9分
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110324001
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110324002&expand#title

最新原発なら福島事故は無い?

 近年、世界的に原子力利用の拡大機運が高まっていたが、福島第一原子力発電所の危機によって重大な疑問が突きつけられている。
 日本最古の原発でオーバーヒートの原因となった
 電源喪失を、新型原子炉は切り抜けられるだろうか?

 必ずしも楽観視できないのが実情のようだ。

 原子力業界では既に、「受動的安全(パッシブセーフティ)システム」を搭載した第三世代の原子炉を開発している。
 日本で起きたような事態にも対応できるシステムだ。
 今までは、放射性燃料と使用済み燃料の冷却に欠かせない水をポンプで汲み上げるため、電力を全喪失すると危機的状況に直結する。
 しかし、最新世代の設計を採用している原発は、世界で建設中の65基のうちわずか4基にすぎない(アメリカのジョージア州、サウスカロライナ州にある敷地造成中や規制認可待ちの4カ所を加えると、69基中8基になる)。

 残りの大部分の47基は未だ“第2世代”の設計で、福島第一と同じく1970年代の思想を受け継いでおり、統合的な受動的安全システムを採用していない。

 原子力関係者は、当初からこのシステムが採用されていなくても、既存の原子炉や建設中の設計図に同様の改良を加えていると指摘する。
 アメリカの業界団体、原子力エネルギー協会(NEI)によると、例えばカリフォルニア州南部沿岸にあるサンオノフレ原子力発電所では、電源喪失時に一時的に「重力駆動型システム」を使って冷却水を循環できるように改良を加えたという。

 だが、改良にも限界がある。NEIの戦略計画責任者エイドリアン・ヘイマー氏は、
 「地震が起きたら大量の水タンクに問題が発生する可能性がある。
 設計初期段階から完全な受動的安全システムを統合するように取り組みを進めてきた」
と話す。

 稼働中の原発で、重力駆動型などのセーフティ機能を導入済みかどうかまとめられた資料はない。
 計画段階、または建設中の発電所についても、統合的な受動的安全システムの採用は遅れている。
 原発の建設は、立地調査、政府認可に始まって、資金調達、設計・完工まで数十年かかる場合が通常だ。
 トレンドが目まぐるしく変わるハイテクの世界と違って、一度方向性が定まると変更は極めて困難な世界だ。
 稼働中の原発の大部分は、
 30~40年前に確立した基礎技術をもとに建設されている。


◆ジェネレーション・ギャップ

 福島第一では原子炉6基のうち5基がゼネラル・エレクトリック社(GE)製のBWR-3(沸騰水型原子炉)型で、Mark 1型格納容器を採用している。
 現役の発電所のうちGEの沸騰水型原子炉は92基、Mark 1は32基が採用している。

 業界、規制当局双方で共通の「開発世代」分類に従えば福島第一は、原発開発で並び立つアメリカやフランスの大部分と同様に“第2世代”に当たる。
 ロンドンに本拠を置く業界団体の世界原子力協会(WNA)によると、第1世代は1950~60年代に開発された。
 この世代をまだ運用しているのはイギリスだけで、北ウェールズのウィルファ原子力発電所がその1例だ。

 ヘイマー氏によると、1979年のスリーマイル島原発事故をきっかけに、原発設計についてリスクと安全性の再評価が行われたという。
 「すべての電源を失ったらどうするか?
  核燃料が損傷する前に動力源を回復する必要がある」
とヘイマー氏は言う。

 福島第一の冷却システムの問題を踏まえると、重力を利用して圧力容器に冷却水を送り込む方法が効果的だろう。
 家屋の屋上に設置された貯水タンクのイメージに近い。
 蛇口をひねると、重力によって水が下に流れ、パイプを通ってキッチン・シンクに出る。
 原子炉の場合はその後、炉心で空気と水が加熱され、パイプを通して熱交換器に送り込まれる。

 福島第一と同じ旧世代のシステムで冷却システムが失われた場合について、ヘイマー氏は次のように述べる。
 「電力系統が失われるとすべての設備がゆっくりと停止に追い込まれる。
 受動的安全システムがあれば、一連のバッテリーに再充電できる発電機を手当てして、炉心に冷却水を送り込む時間を稼げる可能性がある」。

◆テクノロジーの“スロー”な進化

 第3世代の設計には、受動的安全システムや「固有の安全性(自己制御性)システム」が導入されるようになった。
 しかし、世界で運用中の442の原子炉のうち、第3世代は15基のみである(日本と韓国各4基、カナダ、中国、ルーマニア各2基、アルゼンチン1基)。
 また、日本、中国、台湾、韓国、フィンランド、フランス、ロシアで14 基の建設が進む。
 NEIの資料によると、運用中の第3世代原子炉は1982~2007年に運転が開始されている。
 必ずしも最先端の原子力技術とは言えないのだ。

 米国エネルギー省の分類によると、その次の進化形は“第3世代プラス”と呼ばれ、事故発生時には完全に受動的安全システムへ依存する設計となっている。

 原子炉に絶えず必要な“冷却機能”という課題に対処するため、電力線やディーゼル発電機、予備バッテリーの代わりに、重力、自然対流、伝導などの活用が主な戦略として浮上した。
 WNAの資料では、
 「受動的安全システムは、機器類の復旧や補助電源、作業員の制御に頼るのではなく、“物理現象のみ”に依存する」
と説明されている。

 「交流電源や外部冷却水がなくても少なくとも72時間は動作可能で、完全に機能する受動的安全性を備えた設計だ」
とヘイマー氏は説明する。

 現在で、世界初の第3世代プラス原子炉4基の建設が中国で進んでいる。
 東部の浙江省で2013年に稼動予定の三門原子力発電所もその1つだ。
 アメリカでも、 4基が敷地造成の段階にある。
 ジョージア州ウェーンズバロ近郊にあるサザンカンパニー社のボグトル原子力発電所の2基と、サウスカロライナ州ジェンキンスビル近郊にあるサウスカロライナ・エレクトリック&ガス社のバージル・C・サマー原子力発電所の2基である。

 8基の
 第3世代プラス原子炉はすべてウェスティングハウス社設計の「AP1000」型

で、非常時には冷たい外気を鋼製格納容器の周囲に循環させ、容器上方に設置されたタンクから水を重力落下させる。
 ウェスティングハウス社広報のスコット・ショー氏によると、最長72時間冷却可能という。

 その後、小型のディーゼル発電機が電気を供給、施設内の貯蔵容器から炉心と使用済み燃料プールへ毎分約380リットルの水を最長4日間送り込む。
 「わが社はこのAP1000で第2世代から第3世代プラスへと一気に進化した」
とショー氏は胸を張る。

◆電源喪失への備え

 アメリカの科学者団体、憂慮する科学者同盟(UCS)の原子力安全プログラム(Nuclear Safety Program)責任者を務めるデイビッド・ロッシュバウム(David Lochbaum)氏は、
 「受動的安全(パッシブセーフティ)システムがあれば作業員が状況に対処する時間が延びるだろう。
 時間を稼げるほど困難を克服できる可能性も高まる」
と述べる。
 だがUCSでは通常の冷却システムが72時間以上故障し続ける状況を懸念している。
 「送水を回復し炉心に補充するという根本的な問題は未解決だ。福島でも72時間あれば対応の余地が増えたかもしれないが、それでも十分ではなかっただろう」。

 しかし、ヘイマー氏は、
 「消防車やポンプで水をシステムに補充できる」
と主張する。
 (このアプローチは第2世代の福島第一では効果が限られる。
 冷却システムは発電所独自のポンプ装置の正常運転に依存しているからだ)

 別の第3世代プラスの原子炉設計としては、
 GE日立ニュークリア・エナジー社のESBWR(高経済性・単純化沸騰水型原子炉)が挙げられる。
 ESBWRは炉心を冷却水で覆い続けるために自然循環型の重力駆動システムを採用している。

 「アメリカで9カ月後には認可が下りる見込みだった。
 日本の地震と津波が起きるまでは」
とヘイマー氏は話す。
 地震発生2日前の3月9日、アメリカの原子力規制委員会(NRC)はESBWRに関する最終安全評価書と最終設計承認を発行した。
 だが、この決定内容が秋までに発効する目処は立っていない。
 福島第一で進行中の危機を考えると、スケジュールを予測するのは難しいという。
 GE日立の広報担当マイケル・テツアン氏は、
 「秋にはNRCから最終的な認証が得られると期待している。
 当社にとっては受動的安全性を備えた初めての設計だ」
と話す。

 テツアン氏によると、ESBWRはインド政府が計画中の原子炉2基のうち1基で建設予定(規制当局の承認待ち)の段階にある。
 「もう1基はウェスティングハウス社が受注した」
と同氏。
 アメリカでは電力会社デトロイト・エジソンが2008年、エリー湖岸のエンリコ・フェルミ原子力発電所2号機にGE社の ESBWRを採用している。

 福島第一のバックアップ・システムは津波に耐えられなかったが、GE社のESBWRやウェスティングハウス社のAP1000なら対処できるとヘイマー氏は考えている。
 「動的機器には依存していない。
 福島第一の作業員はいくつものバルブ(弁)を制御しなければならないが、2、3個のバルブで済む」
と同氏は述べる。

 事故発生時にウラン燃料が溶融する可能性の指標「炉心損傷頻度」に基づくと、
 「あくまでも当局の認可が下りた場合の話だが、最新の受動的安全システム設計なら、沸騰水型原子炉の安全性は従来の10~100倍に高まる」
とヘイマー氏は説明する。

◆圧力の放出

 だが、多数の第2世代が現役で建設も行われている現実に、規制当局や事業者は旧設計の安全性を高める改良方法に注目している。
 NRCのグレゴリー・B・ジャツコ委員長は今月、アメリカ上院の環境公共事業委員会の公聴会で、原子炉を最新の状態に保つプロセスについて、
 「20年経過した航空機のシステムを、問題点を把握しながら更新、改良していくプロセス」
になぞらえた。

 例えば、福島第一と同型のアメリカ国内の沸騰水型原子炉ではすべて、1990年代以降、ベントの配管を耐圧強化している。
 ベントは格納容器から蒸気や圧力を“大気中に直接”放出するダクトで、放射性物質を除去するフィルターが付いている。
 さらに従来設計では、原子炉建屋に配管が出ているため建屋内に水素が溜まりやすかった。

 NEIは現在、福島第一のベントについて日本当局から明確な答えを得ようと奮闘している。
 「さまざまな事態の対処に追われ、われわれに情報提供できる状況ではないかもしれない。
 だが、原子炉6基のうち4基で爆発が起きたことから、建屋内に水素が溜まっていたと考えられる」
とヘイマー氏は話す。

◆クエンチャー、デフレクター、サドル

 Mark 1型格納容器の安全性に対する懸念が高まる中、GE社は3月16日、
 「40年前の技術は進化を続けてきた」
と強調する文書を発表した。

 1例が“クエンチャー”システムだ。
 沸騰水型原子炉で格納容器下部にある大きなドーナツ型のサプレッション・チェンバー(圧力抑制室)内の圧力を低減するために考案された。
 チェンバー内の水に水蒸気の泡を送り込み、熱の除去を助ける。
 大きな泡を小さな泡に分解し、迅速な凝縮により圧力を下げるという。

 チェンバーには“デフレクター”も設置した。
 水蒸気が吹き込まれ水位が上がるときに発生する圧力波を分散させる狙いがある。
 さらに、チェンバー下部の脚のような構造物“サドル”も強化したという。

 NRCはMark 1を採用するアメリカ国内のすべての原子炉で、このチェンバーの補強策とベントの改良を実施するよう求めた。
 AFP通信によると、GE社のテツアン氏は、
 「海外の顧客にもこの情報を周知しているが、実際に改良したかどうかは言えない」
と述べている。

◆教訓は生かされるか?

 UCSで核エネルギー・気候変動プロジェクトの責任者を務めるエレン・バンコ(Ellen Vancko)氏は、
 「まだ全体像は見えないが、今回の事故からたくさんの教訓が得られるだろう」
と述べる。

 福島第一では安全手順に違反していたのか。
 それとも、従っていたが役立たなかったのか。
 「いずれにしろ、緊急時に正しい対応をとれるよう、安全手順を強化する必要がある。
 あるいは、新しく作り出さなければならない」
と、同じくUCSのロッシュバウム氏は語っている。






== 東日本大震災 == 



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福島原発事故、最も深刻なレベルにある(03/18)


● チェルノブイリ4号炉の制御室。
  原子炉の設計、風向き、情報公開などの要因により、原子力事故の深刻度は異なる。



ナショナルジオグラフィック ニュース March 18, 2011
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110317001&expand#title
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110317003&expand#title

福島原発事故、二大事故との違い

 3月11日の東北地方太平洋沖地震と津波の影響で、福島第一原子力発電所で爆発事故が発生し、事態収束を図るため懸命の作業が続けられている。
 原発事故といえばスリーマイル島とチェルノブイリが双璧だったが、福島原発は両者に匹敵する深刻な事態となる可能性があり、いずれは
 三大原発事故として記録に残る
ようになるだろう。

 福島第一原発の損害がどの程度深刻になるか現時点で見通しは立っていない。
 15日の時点で6基ある原子炉のうち3基で水素爆発が発生。
 さらに、2基で格納容器が損傷、4基で使用済み核燃料が過熱し、極めて危険なレベルの放射線が検出された。
 構内に残って作業を続ける作業員50人が被曝の危険にさらされるなど、事態は深刻化している。

 しかし、1979年にアメリカ、ペンシルバニア州ハリスバーグ郊外のスリーマイル島原発で起きた事故や、1986年のウクライナ北部チェルノブイリ市の原発事故とは大きく異なる点が既にいくつかわかっている。

◆原子炉の種類

 1970年代に営業運転を開始した福島第一は、計6基の沸騰水型軽水炉(BWR)がある。
 BWRは通常の水を使用する軽水炉の一種で、H2Oの代わりに酸化重水素(D2O)を使用する重水炉と区別されている。
 スリーマイルの軽水炉は、加圧水型原子炉(PWR)という別のタイプだった。

 電力業界の非営利研究機関である米電力中央研究所(EPRI)の原子力担当副所長ニール・ウィルムシャースト氏によると、どちらの原子炉でも水が2つの役割を果たしているという。
 炉心で発生した熱を取り出す冷却材、そして核分裂反応で放出される中性子の速度を下げる減速材の働きである。

 加圧水型では水に高い圧力をかける。
 炉心が加熱した冷却水を蒸気にすることなく(水の方が蒸気よりも冷却効率が高いため)、沸騰水型よりも高温で運転する。
 炉心の温度が高くなり、熱効率が上がるのである。
 一方、沸騰水型は加圧水型に比べ低温のため、原子炉の構造が簡単で、部品が少なく済む場合が多い。

 チェルノブイリは、黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉(RBMK、ロシア語名:Reaktor Bolshoy Moshchnosty Kanalny)である。
 軽水炉と同様に冷却材として水を使用するが、減速材には黒鉛が使用されていた。
 イギリスのロンドンを拠点に活動する原子力業界の国際団体、世界原子力協会(WNA)によると、黒鉛の減速材と水の冷却材を組み合わせた原子炉は、ロシアで運転中の数台しかないという。

 アメリカでは原子力発電所のほとんどがBWR型かPWR型の原子炉を使用している。
 「安全性に大差はない」と、ウィルムシャースト氏とEPRIは同意見だ。
 「どちらもそれぞれ自己制御性(負の反応度フィードバック)を備え、炉内の温度が上昇すると自然に核分裂反応が弱まり、出力が減少する」
とウィルムシャースト氏は説明した。
 「しかし、RBMK型は正の反応度フィードバック特性を持つ
 温度が上昇すると出力が上がり、さらに温度が高まるため、原子炉の暴走が生じやすい」。

◆事故の原因

 「福島原発の事故では、津波が直接の原因となった可能性が高い」
と同氏は指摘する。
 設計通り、地震の揺れを検知して運転を自動停止したが、 約1時間後に大津波が押し寄せ、すべての電源を喪失した。
 地震で冷却ポンプの動作を保つ外部電源が停止、冷却系への電力供給を担う非常用ディーゼル発電機は津波をかぶり故障した。
 非常用バッテリーもわずか8時間で切れたため、移動式発電機が搬入されている。

 アメリカの科学者団体、憂慮する科学者同盟(UCS)の原子力安全プログラム(Nuclear Safety Program)責任者を務めるデイビッド・ロッシュバウム氏(David Lochbaum)氏は、
 「一連の災害と事故との因果関係を判断するのは時期尚早だ」
と指摘する。
 同氏はアメリカにおいて、福島第一と同じゼネラル・エレクトリック社(GE)製の3つの原発で技術者として働いた経験を持つ。

 1979年のスリーマイル島原発事故に関する通称ケメニー委員会の最終報告書では、
 「機器の欠陥が事故の発端ではあるが、人為的な操作ミスが決定的要因となった」
と述べられている。
 作業員が非常用冷却系統を誤操作により停止してしまったため、深刻な事態に進展した。
 もし作業員(または監督者)が事故の初期段階で非常用冷却系統を作動させていれば、あれほど重大な事故にはならなかったと同委員会は見ている。

 一方、チェルノブイリでは動作試験が行われていた。
 「計画自体に不備があり、実施時にも複数の規則違反があった」
とウィルムシャースト氏は言う。
 国際連合(UN)によると、予期しない運転出力の急上昇により蒸気爆発を起こし、原子炉の蓋が破損。
 その結果、溶融した燃料と蒸気が反応してさらに激しい爆発が起こり、炉心も溶融、建屋もろとも爆発炎上したという。

◆問題の究明

 スリーマイルとチェルノブイリ以降の数十年で、何が原子炉内で起こっているのか、原子力発電に関する情報が公開されるようになった。

 スリーマイル事故当時に米原子力規制委員会(NRC)の委員だったピーター・ブラッドフォード氏は今週、
 「スリーマイルでは、事故3日目までに公開した情報のほとんどが不正確だった。
 燃料溶融の状況や1日目に炉内で発生した水素爆発の事実すら、何年もの間公表されず、情報がまったく闇に葬られていたのだ」
と語った。

 前述のケメニー報告書では、警報システムの不備を問題に挙げている。
 スリーマイル事故の最初の数分間、100以上の警報が鳴り響いたが、重要な信号を選択して通知するシステムは確立されていなかった。
 「状況が急速に変化する事故現場は混乱の極みに陥る。
 問題は、その状況下における人間と機械との相互作用に注意がほとんど払われていなかったことにある」。

 一方、ブラッドフォード氏は次のように指摘する。
 「コンピューター化と情報伝達の向上により、少なくとも理論的には、日本の当局者は事故の状況をはるかに詳しく把握できたはずだ。
 だが、スリーマイルにはない地震と津波が相次ぎ、パニックに陥ったことは間違いないだろう」。

◆放射能漏れの影響

 スリーマイルと同様に、福島原発の原子炉でも、燃料被覆管、原子炉圧力容器、原子炉格納容器の3重の壁で放射能漏れを防いでいる。
 チェルノブイリは格納容器が無い設計だった。

 放射性物質が大気中に漏出すると、広大な範囲に影響を及ぼす可能性がある。
 「汚染の度合いは距離と関係ない。
 つまり、遠く離れているからといって必ずしも被曝量が少ないわけではない」
とロッシュバウム氏は説明する。
 その要因の1つである卓越風により、影響を受ける範囲が変わってくるという。
 チェルノブイリでは、発電所から150キロ以上離れた場所が数十キロ圏内よりも高濃度で汚染された例もある。

 「チェルノブイリはまったく常軌を逸していた。
 放射性物質は格納容器のない原子炉構造と黒鉛の火災が原因で上空に舞い上がった」。
 黒鉛火災は10日間続き、長引く漏出の間に天候が変わった。
 放射性物質の気体と粒子は風に乗って上空まで運ばれ拡散し、現場から遠く離れたところで雨と共に地上に降り注いだという。

 スリーマイルの放射能漏れは即座に健康被害が出るほどのレベルではなかった。
 国際原子力事象評価尺度(INES)では、最悪のレベル7より2段階低いレベル5(施設外へのリスクを伴う事故)に分類している。
 チェルノブイリはレベル7(深刻な事故)にランクされ、極めて多数の被曝者を出した。

 福島第一は当初、レベル4(施設外への大きなリスクを伴わない事故)にランクされていたが、今後どこまで影響が及ぶのかは未知数だ。
 300キロ近く離れた東京では15日、通常の23倍の放射線量が計測されたが、同日中に10倍程度にまで下がっている。

◆被曝に関する正しい知識を

 アメリカでは、自然界のほか、医療処置や一般的な商品など人工の発生源から被曝する放射線量は、平均で年間6.2ミリシーベルト(1ミリシーベルト=100ミリレム)だという。

 AP通信によると、厚生労働省は15日、原発作業員の被曝量の上限を100から250ミリシーベルトに引き上げた。
 米国原子力エネルギー協会(NEI)の調べでは、福島第一原発の放射線量は15日午後に毎時11.9ミリシーベルトに達したが、6時間後には毎時0.6ミリシーベルトまで低下したという。

 国連とNRCの調べによると、チェルノブイリでは、最初の爆発現場で800~1万6000ミリシーベルトもの放射線を被曝した作業員600人のうち、 134人が急性の放射線疾患を発症したという。
 このグループの2人は事故時の火災と放射線被曝によって命を落とし、28人が3カ月以内に死亡している。
 さらにその後、4000人もの人々が被曝によってこの世を去ったとみられている。

 公衆衛生の観点から見ても、史上最悪の被害を巻き起こし、6000人以上の子どもたちが放射線被曝によって甲状腺癌(がん)を発症した。
 そのほとんどは、汚染された牛のミルクを飲んだことによる内部被曝だという。

◆情報開示の大切さ

 「福島の危機を乗り越えるために、世界中の原子力業界が共同体勢を取って情報交換している。
 業界内で活発な情報交換が図られている点で、スリーマイルやチェルノブイリとまったく違う」
とウィルムシャースト氏は語る。

 当然、原発事故に関する情報は業界外にも伝わる必要があるが、東京電力はこの点で厳しい批判にさらされている。
 15日には国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長が日本政府に対し連絡体制の強化を要請した。
 共同通信によると、同日に菅直人首相は東電本社を訪れ、幹部を叱責。
 爆発事故の連絡が首相官邸まで届くのが遅れたためで、「一体どうなっているんだ」と情報伝達の必要性を強く訴えたという。

 スリーマイルの事故当時は、原子炉を冷やして安定化させる作業が行き詰まっていても、当局側は国民に対して「危険は過ぎ去った」と説明するだけだった。
 チェルノブイリでも情報はほとんど開示されていない。
 世界原子力協会(WNA)は、
 「チェルノブイリの直接の引き金となったのは、冷戦時代の孤立状態が生んだ安全意識の欠如だ」
との見解を示している。

 アメリカ環境保護庁(EPA)は1986年のある論文の中で、
 「チェルノブイリ事故では当初、深刻な隠蔽工作が行われた」
と述べている。
 実際、ソ連で大規模な原発事故が発生した事実が国際社会で明らかになったのは、翌日にスウェーデンの原発作業員の衣服から大量の放射性物質が検出されたことがきっかけだった。
 ただちに発生源の調査が行われ、ソ連は日が変わってからようやくチェルノブイリでの事故を認めた。
 情報不足のため、死者数から付近の原子炉での火災まで、さまざまな憶測が流れたという。

 日本でも状況が悪化するにつれ、高まる危険性を過小評価するような関係者の発言に非難が集中している。
 エネルギー環境研究所(IEER)の所長アージュン・マキジャニ氏は、原子力業界が用意した脚本をなぞるかのような日本政府の対応を批判する。
 「脚本のタイトルは“全然大丈夫”というところだろう」。

 「判明した事実と不明点。
 損害の大きさとそれがもたらす結果。
 情報を率直に伝えることが、国民からの信頼につながる」
と同氏は話す。
 「しかし現在のところ、会見では放射線量の低さで安全を強調しているが、対照的に避難指示の範囲は広がるばかりだ」。

 「Wall Street Journal」紙によると、日本政府は東電からの情報伝達の遅さを非難しているという。
 憂慮する科学者同盟(UCS)の世界的安全保障プログラム(Global Security Program)の物理学者で、核管理研究所(Nuclear Control Institute)の元所長エドウィン・ライマン氏は、
 「東電の会見は回を重ねるごとに曖昧になっている」
とのコメントを寄せた。

 「日本の関係者から出される情報の精度にばらつきがあるのは明らかだ。
 だが、それはいまだに状況把握に追われている状況を示しているのかもしれない」
とライマン氏は続けた。
 同じくUCSの核専門家エレン・バンコ(Ellen Vancko)氏も、
 「現場は相当な混乱状態にあるだろう」
と同意する。

 「アメリカや他の国々の業界で、今回の事故があいまいにされなければよいが」
とライマン氏は語った。
 「福島第一原発事故は原子力開発の歴史上、最も深刻なレベルにあると考えている」。







== 東日本大震災 == 



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福島原発、危機は回避できるか?(03/16)


● 煙が上がる福島第一原子力発電所(衛星画像)。
  3月14日、原子炉建屋の天井を吹き飛ばした2度目の水素爆発後に撮影された。
  原子炉3基で冷却機能が停止し、燃料棒の露出で炉心溶融の危機が高まっている。



ナショナルジオグラフィック ニュース March 16, 2011
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110315001&expand#title
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110315003&expand#title

福島原発、危機は回避できるか?

 3月11日の東北地方太平洋沖地震により、福島第一原子力発電所で爆発事故が発生。
 首都圏を事業地域とする東京電力は沈静化に努めているが、地震リスクが想定をはるかに超える可能性は4年前の時点で既に警告されていた。
 現在、6基中3基の原子炉プラントで、炉心溶融回避に向けて全力が注がれている。
 14日午前に起きた2度目の水素爆発からは、予断を許さない状況が明らかになった。

 東京電力は2007年に1度、柏崎刈羽原子力発電所で危機回避に成功している。
 当時、この世界最大の原発は想定の3倍に当たるマグニチュード6.8の新潟県中越沖地震に被災した。

 世界の原子力産業では地震規模のリスク過小評価をきっかけに懸念が広がり、調査が一斉に開始されたが、東京電力はむしろ原子力発電所の優れた耐震性を強調した。
 重要な安全システムが正常に機能していたからだ。
 しかし、アメリカのワシントンD.C.に拠点を置くエネルギー環境研究所(IEER)の所長アージュン・マキジャニ博士は、「ラッキーだっただけ」と結論付けている。

 いずれにせよ、東京電力の「地震リスク評価」はあらためて厳しい目にさらされることになる。

◆リスクの尺度

 福島第一原発では、冷却機能の停止により核燃料の一部が既に溶け始めている可能性があるが、確認はできていない。
 しかし地震の尺度のうち少なくとも1つが、確実に危険信号を発している。
 11日の地震で記録された震源地の最大地動加速度(振動)が、第一原発の想定の2倍に達していたのだ。

 米国原子力エネルギー協会(NEI)の資料によると、福島第一原発は0.18Gを想定していたが、今回の地震は172キロ離れた震源地で0.35Gを記録したという。

 ただし、結論を出すのは、発電所での実測値が発表されてからでも遅くない。
 揺れの測定値はわずかな距離の違いでも大きく異なる場合があるという。
 NEI の広報担当者ミッチ・シンガー氏は、
 「今回は地震そのものより津波の被害が大きかった
と言う。
 冷却機能の作動に欠かせない非常用ディーゼル発電機を止めてしまったからだ。
 「マグニチュード9.0の地震が起きても原子炉の構造は完全性を保っていた。
 津波で発電機が止まるまでは、全システムが正常に機能していたんだ」。

 事故要因から地震を外すのは早すぎるとの意見もある。
 前出のマキジャニ博士は、
 「確かにほとんどのダメージを津波がもたらした可能性はある。
 しかし発電機の停止原因は現時点では誰にもわからない。
 振動が犯人の可能性もまだ残されている」
と指摘する。

 14日午前に3号機で発生した水素爆発は、原子炉建屋の天井を吹き飛ばした。
 2日前に同様の爆発が1号機でも起こっている。
 2号機は冷却機能を完全に喪失、原子炉内の水位が低下し、燃料棒が完全露出の状態に至ったという。
 この状態が続くと燃料棒の温度が上昇して溶融する可能性がある。

 放射能の測定値から判断して、溶融は既に始まっていると見る専門家もいる。
 しかし国際原子力機関(IAEA)は、
 「原子炉の格納容器に損傷はなく、放射能漏れは起きていない」
と強調する。
 約60キロ離れた福島第二原発も最初こそ電源スイッチが浸水して冷却機能が麻痺したが、その後は安定を保っている様子だ。

 現在は第一原発半径20キロ圏内からの避難指示が出ており、住民18万人以上が退去している。
 政府は予防対策として23万セットの安定ヨウ素剤を避難所に配布した。
 ヨウ素の事前摂取には被曝者の甲状腺癌(がん)発病を防ぐ効果がある。

◆冷却の失敗

 日本の電力供給の3割は、1966年以降に建設された54基の原子力発電所に依存している。
 3月11日の地震と津波の発生以後は、約11基の原発が停止している。
 業界筋によると、福島第一原発も含めて
 すべて設計通りに作動し、核分裂反応が自動的に停止した
という。

 第一原発事故は、核燃料が発する崩壊熱処理の不手際が原因との指摘もある。
 燃料は、核反応の停止後も持続的に冷却しなければならない。

 核燃料を冷却するには、モーターとポンプから成る冷却システムに電力を安定供給する必要がある。
 通常は、地震発生後に停電しても機能を維持できるよう、原発にはバッテリー・システムと非常用ディーゼル発電機が備え付けられている。
 しかし第一原発の場合は、地震と津波の発生後すぐに発電機が停止し、バッテリーもわずか数時間しか保たなかった。
 代替システムが現場に急送されたが、冷却用真水の調達にも障害が生じていた。
 そこで東京電力はホウ酸を添加した海水の注入に踏み切った。
 ホウ酸には核分裂反応を抑制する効果があるが、前例のない措置だという。

 非営利の米電力中央研究所(EPRI)で原子力担当副所長を務めるニール・ウィルムシャースト氏は、
 「福島原発の設計と想定していた地震リスクについては、これから確認して精査しなければならない」
との認識を示した。

◆地震リスクの想定

 2007年の新潟県中越沖地震の際には、EPRIの専門家を始め多くの科学者や技術者が柏崎刈羽原子力発電所を訪れ影響を調査した。

 当時は、マグニチュード6.8の地震発生後に変圧器火災が発生。
 消火システムの一部に支障を来し、配管や排気ダクトも損傷を受けたという。

 このとき、設計段階の想定をはるかに超える地震が起きたことから、原子力発電所の地震リスクを調査する機運が世界的に高まった。
 国際原子力機関(IAEA)も現地調査に乗り出し、調査結果を発表して意見交換する場を設けている。
 IAEAの報告書には、
 「新しい核施設の地震リスクは、古い施設と比べて大幅に高く設定されている」
との記述があった。
 1980年代半ばに運転を開始した柏崎刈羽原発に対し、1970年代初頭の福島第一原発は10年以上も古い核施設である。

 2007年の地震発生以来、東京電力は耐震補強の取り組みと完全性の試験を続けており、柏崎刈羽原発の7基中3基の原子炉はいまだ運転再開に至っていない。
 実は、この3月中に次の運転再開が予定されていたという。

 専門家によると、2007年の事故には明るいニュースもあった。
 「システムの損傷が最小限に抑えられ、原子炉も安全に保たれていた。
 リスクを高めに設定し、安全を最優先して原子炉が設計されていた証拠だ」
とEPRIのウィルムシャースト氏は指摘する。

 福島第一原発でも同じレベルの安全性が期待されるが、実際はどうなのだろう。
 ウィルムシャースト氏の見立てでは、放射能の測定値から判断して、ジルコニウムなどの金属から成る「燃料被覆管」には亀裂が入っている可能性が高い。
 しかし鋼鉄製の「原子炉圧力容器」とその関連システム、および鉄筋コンクリート製の「原子炉格納容器」にダメージは無いようだ。
 最外部の「原子炉建屋」は水素爆発で天井が吹き飛んでいる。
 肝心のウラン燃料は、融点を上げるために焼き固められた「燃料ペレット」に加工され被覆管内部に詰められている。
 以上「5重の壁」が放射能漏れを阻むはずだった

 ウィルムシャースト氏は最後に、次のようにコメントした。
 「未曾有の危機と言っていい。
 日本に限らず世界が注目しており、一日も早い事態の収束を願っている」。







== 東日本大震災 == 



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原発と津波

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● 日本の原発地図



読売新聞  2011年3月30日(水)8時36分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110330-00000130-yom-soci

10m津波想定せず…全国54基、電源喪失恐れ



 全国の原子力発電所が、東日本巨大地震で発生した10メートル級の津波を想定しておらず、想定を超えた津波に襲われると福島第一原子力発電所と同様の電源喪失に陥る恐れのあることが、読売新聞社の調査でわかった。

 経済産業省は福島での事故を受けて、電力各社に対策の強化を求めるが、各社とも対応に追われている。

 大地震などの際、運転中の原子炉を安全に停止するには、炉を冷却する装置が働く必要がある。
 各原発は、通常の外部電源が止まった時のために非常用電源を備えるが、福島第一原発では非常用ディーゼル発電機が津波で浸水し故障した。

 読売新聞社が、全国の商業用原発54基について調べたところ、津波の想定は最高でも北海道電力泊原発(泊村)の9・8メートルで、最も低い関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)は0・74メートルだった。

 各社は、非常用電源を置く敷地が津波の想定より高いことから「安全」と判断している。

 しかし、今回の津波では、
 福島第一原発が想定を上回る14メートルの津波に襲われたとみられるほか、
 日本原子力発電東海第二発電所(茨城県東海村)と東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)も、非常用の発電機を海水で冷やすポンプや熱交換機が水没で故障し、一部が使用不能になった。








== 東日本大震災 == 



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東京デイズニーランド再開?

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● 東京デイズニーランド




読売新聞 2011年3月30日11時21分
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110330-OYT1T00358.htm

東京ディズニーランドとシー、4月上旬再開へ

 東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)を運営するオリエンタルランドは30日、東日本巨大地震の直後から休園していた東京ディズニーランド(TDL)と東京ディズニーシー(TDS)の営業を、4月上旬にも再開する方針を明らかにした。

 同リゾートは東京電力の計画停電の対象となっている。
 節電に協力するため、当面は夜間営業を自粛しTDLとTDSのどちらかの営業にとどめることも検討している。

 地震により駐車場で液状化現象が起きるなどの被害を受けたが、修復はすでに終えている。
 営業再開日は、計画停電の状況を見極めた上で判断する方針だ。


 残念なことに、私にはこの発想はさっぱりわからない。
 廃園に向けて、ゴールデンウイーク期間中に
 閉園セレモニー
でもやることになったのかと思った。
 世の中にはわからにことがたくさんある。
 それはそれでいい。
 これは、私にとって「ワカラナイ」というカテゴリーにいれておくことにしよう。



 笑ってしまったのはコレ。


B!ニュース 2011年03月30日 15時43分
http://b.hatena.ne.jp/articles/201103/3270

「ディズニー営業再開日は未定」 オリエンタルランド、一部報道を否定

 東京ディズニーリゾートを運営しているオリエンタルランドは3月30日(水)、一部で報道されている営業再開日について
 「現段階で決定している事実はございません
と公式サイトで否定しました。


● ホームページ


 東京ディズニーリゾート再開に関する一部報道について 東京ディズニーリゾート再開に関する一部報道について

 東北地方太平洋沖地震の影響で、東京ディズニーリゾートは当面の営業休止を発表していました。
 営業再開日は未定となっており、遅くとも再開予定日の5日前の午後8時までに公式サイトで告知するとしていましたが、一部で
 「4月6日にも営業を一部再開する」
と報道されていました。

▽ asahi.com(朝日新聞社):TDR、4月6日にも一部再開へ 営業時間は短縮 - 社会

▽ 東京ディズニーランドとシー、4月上旬再開へ : 経済ニュース : マネー・経済 :
   YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 しかしオリエンタルランドは、この報道内容を否定しました。
 再開については、
 「なるべく早期での再開を目指しておりますが、再開日や方針等、現段階で決定している事実はございません」
としています。

 公式サイトでは、東京ディズニーランドと東京ディズニーシー内の3月28日時点での建物の状況などを写真つきで公開しています。
 これによると、地震による建物や施設への大きな損傷はなかったとのこと。
 路面の一部に小さなひびなどが発生したものの、補修作業を行い、すでに開園が可能な状態にまで至っているそうです。
 平面駐車場の一部区画で発生した液状化現象に関しても、砂利などで修復を行い、使用可能な状況であるとしています。

▽ 東京ディズニーランド®/東京ディズニーシー ®の建物、施設について(3月28日現在)


 常識的に考えて、世の中で計画停電が考えられている中、なんで遊園地が開園するのか。
 ちょっと頭をひねればわかること。
 道徳的に許されることではない。
 その程度のこともわからぬ大手マスコミの常識レベルにいささか唖然とする。

 なぜ東京デイズニーランドが閉園しているかというと、東京ドーム10倍の電気を食うシロモノだということ。
 これはなんと一般家庭5万世帯分に相当するという。
 とすれば常識的にみて、開園などできようがないというのは当然だろう。
 いくら、2つの遊園地の一つだけにして、それも昼間だけといっても最低でも1万世帯分くらいは想像できる。
 それをかんがえれば、開園などできようがない。
 そんな簡単な判断すらもいまのマスコミ記者はできないのだろうか。


JCASTニュース 2011/3/24 10:13
http://www.j-cast.com/2011/03/24091132.html

ディズニーランド当分再開できず 東京ドーム10倍の電力量がネック

東京ディズニーランドが、計画停電の余波で、当分通常営業を再開できない状況だ。
 東京ドームの10倍もある電力の供給が見込めないためで、部分開園なども検討しているものの、なかなかメドがつかないようだ。

 東京湾岸埋め立て地の液状化で、ディズニーランドがある千葉県浦安市は、世帯の半数もが水やトイレを使えなくなり、ガスの供給停止地域も出ている。

■液状化なく、「開園が可能な状態」だが…

 とはいえ、ディズニーランドだけは、液状化の被害がほとんどないという。
 確かに、駐車場の一部やディズニーシー周りの沿岸道路では、陥没・隆起や砂の噴出が見られた。
 しかし、運営会社のオリエンタルランドによると、園内のアトラクションや広場などにこうした現象は見られず、水道やガスなども被害がなかった。

 浦安市によると、もともと陸地部分が多かったほか、地盤強化などの安全対策が行われた結果ではないかという。

 オリエンタルランドも2011年3月18日、すでに安全点検などが終わり、「開園が可能な状態」であることをサイト上で明らかにした。
 ところが、計画停電の影響で「電力供給が安定しない」状況になっており、引き続き休園することになった。
 当初は、21日をめどに見通しを決めるとしたが、未だにそうできない事態になっている。

 同社の広報部では、取材に対し、「営業再開については今のところ未定です」と答えた。

 園内では、ジェットコースターなどの乗り物があったり、電飾を凝らした夜のパレードが行われたりして、多量の電力を消費する。
 同社によると、ディズニーシーを含めて、1日当たりに使う消費電力は、約57万キロワット時だ。

 これは東京ドームの約10倍に当たり、
 一般家庭なら5万世帯前後にも相当する
 プロ野球セ・リーグの開幕強行が批判を浴びているだけに、営業再開には難しい判断が迫られそうだ。

■節電の影響を長期的に受ける可能性

 今後は、震災復興がある程度進んで、エンターテインメントへの期待が出てくることも予想される。
 しかし、そうは言っても、必ずしも状況は楽観視できないようだ。

 電力逼迫で、2011年夏以降も計画停電が続く見通しが報じられており、ディズニーランドにも影響が出るからだ。

 浦安市は、計画停電の第5グループに入っており、2011年3月14日のスタート時からすでに3回も停電が行われている。
 東京23区とは違って、停電になる可能性が高く、また、電力需給次第で、かなりの節電が求められる事態になりそうなのだ。

 ディズニーランドのある舞浜駅を通るJR京葉線も、停電のたびに運行がストップするので、その影響も出そうだ。
 現在は、停電時以外は、ほぼ通常運行に戻ってはいるものの、今後の節電で、運転本数が減らされることもありうる。
 その結果、駅などの混雑が激しくなることが予想され、営業に支障がある可能性が出ている。

 浦安市の災害対策本部では、
 「ディズニーランドは、大きな電力を使うので、節電などの影響を長期的に受けるかもしれません。
 現在は、シンボルのシンデレラ城さえ、節電で明かりが点いていないといいます。
 私どもはライフラインの復旧見通しが立たずに手がいっぱいですが、今後は、どうやって連休や夏休みを乗り切るかなど、ディズニーランド側と話し合いたい」
と言う。

 オリエンタルランドでは、
 「電力不足のほか、交通機関の様子、燃料不足なども見なければなりません。
 こうしたインフラの状況を見ながら、どのような形で開園できるのかを決めたいと思います」
と話している。


 ちなみに、上海デイズニーランドは10日後の4月8日に着工する。
 5年後に完成予定。
 総工費は約3千億円。
 言わば、切り替えの時期にきたということであろうか。
 東京デイズニーランドのノウハウは中国へ移っていく。
 主役交代がいろいろなところで進行しているようである。
 上海は北九州からみると、東京と同じ距離。
 東京へいくより、上海へ、ということになろう。





== 東日本大震災 == 



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サムライの死生観と日本人の防災観念

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● 堤防を越えて釜石を襲う津波






● 津波に破壊された釜石堤防




日本経済新聞 2011/3/25 0:00
http://www.nikkei.com/biz/world/article/g=96958A9C9C81E2E2E3E2E2E3E28DE0E6E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E3E7E2E0E0E2E3E2E6E1E0E2

[FT]津波が示したサムライの死生観と日本人の防災観念

(2011年3月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 釜石の丘の上からは、この町の有名な防波堤を一望することができる。
 3年前に完成したばかりのこの堤防は、最深63メートルという世界一の水深を誇り、1200億円という巨費を投じて作られたものだ。
 それが今では壊れてしまっている。

■よみがえる古代ローマ哲学者の教え

 眺めの良いこの場所からは、防波堤が壊れた結果も容易に見渡すことができる。
 3月11日の大地震が引き起こした壊滅的な津波により、町の大半が流されてしまったのだ。

 こうした光景を見ていると、釜石(そして、海岸線を南に下ったところにある、地震で損傷した原子力発電所の危機)の教訓は、科学技術で自然を飼いならそうとする人間の努力が無駄であり、逆効果でもあるということだと結論づけたくなるかもしれない。

 本紙(フィナンシャル・タイムズ)の読者投稿欄に今週、日本人のストイックさについて書かれていたように、古代ローマ時代のストア派哲学者であるセネカは2000年近く前に、死は自然なことであり、死を恐れることこそが最大の問題だと言明していた。
 そして、地震から逃れようとして町を移転させることは無意味だと記していた。

 自らの運命をコントロールすることの限界をこのように受け入れる姿勢を、日本人はすぐに理解できる。
 実際、日本文化には運命論があちこちに見受けられる。

■不可避の死について思うサムライ

 被災地では、生き残った人々の多くが、自分たちが喪失に対して全般的に冷静かつ現実的な反応を見せているのは、災害は起こるものだと昔から受け入れてきたからだとか、悲しみや痛みを表に出さないことをたたえる日本のサムライの倫理がまだ残っているからだと話している。

 確かに、セネカの思想と、禅の影響を受けた教養ある武士たちが信奉した考え方との間には、興味深い共通点がある。
 例えばセネカは、朝目覚めたら、その日1日に起こり得る悪い出来事をすべて想像するよう説いていた。

 「この訓練は、ただの遊びではない」。
 哲学者のアラン・ド・ボトン氏はこう言う。
 「その日の夜に自分の住む町が火事になったり、自分の子供が亡くなったりした時に備えるのが狙いだ」

 18世紀の武士、山本常朝も同じようなことを説いている。
 山本は、武士道の要諦をまとめた書物「葉隠」の中で、
 「不可避の死についての瞑想(めいそう)を毎日行うべきだ」
と述べている。

 「毎日、心も身体も平穏な時に、自身の身体が矢や鉄砲、槍(やり)や刀でずたずたにされた時の様子、大波にさらわれ、大地震で死ぬほど揺さぶられた時の様子を思い描くべきである」

■確実に強まる防災システム

 確かに、このように冷静さを養うことは、間違いなく、突然の災難や死に対処する際の助けになる。
 無事に生きていられる日々への感謝の気持ちも強まるだろう。

 しかし、多大な労力と資源を投じて釜石に防波堤が築かれたことから分かるように、自然災害やリスクに対する日本のアプローチが本質的に運命論的だと結論づけるのはナンセンスだ。

 エスカレーターに乗る時に、足元に気をつけるよう、これほどやかましく注意する国はまずない。
 また、大物政治家の小沢一郎氏が以前書いていたように、もしグランドキャニオンが日本にあったら、そこには柵が設けられ、「立ち入り禁止」の札が掲げられ、がけの縁には近づかないようにとガイドが注意して回ることだろう。

 今回の津波を受けて防災システムを強化する動きが弱まることはなく、むしろ確実に強まる。
 また、その限界が明らかになったとはいえ、大自然の怒りがもたらし得る苦しみを小さくする最高のツールが科学技術であることにも変わりはない。

■完全な失敗ではなかった釜石の防波堤

 不十分なものも非常に多かったとはいえ、被災地の早期警戒避難システムが人々の命を救ったことは間違いない。
 また、昔ながらの木造家屋は流されてしまったが、頑丈に作られたコンクリートのビルの上階は安全な避難先となった。

 また、専門家は、釜石の防波堤も完全な失敗ではなかったと主張する。
 防波堤はこの地域を襲った過去3回の津波災害と同じ規模となる今回より小さな波を想定して設計されたが、一定の海の威力は考慮しており、損害を抑え、住民に逃げる時間を多少余計に与えられたと、早稲田大学社会環境工学科の柴山知也教授は言う。

 柴山教授によれば、日本は防波堤と護岸を建て直す一方で、そうした物理的な防御の限界を認識して、住宅地をもっと高い場所や海からもっと離れた場所に移すべきだという。

 当局者とエンジニアたちも当然、自分たちの防災計画のベースとなったリスク評価とシナリオを厳密に再考し、ほとんど過去の地震の証拠だけに頼ることがないようにしなければならない。

■現実対応困難にする想定シナリオ

 釜石市の避難訓練の設計を手伝った群馬大学の片田敏孝教授は、前例に基づくシナリオに頼ると、人々が未曽有の威力の津波に備え、対応することが逆に難しくなると指摘する。日本に住む人はそうした「固定観念」を捨て、あらゆる事態に備えておくよう注意しなければならないと片田教授は言う。

 「例えば、富士山が爆発して、東京が火山灰に埋まるかもしれない。
 起こり得る自然災害は何通りもある。
 我々はこうした可能性をすべて考慮し、それが起きた場合に社会がどう対応するのがベストか考える必要がある」

 3月11日の津波が残したがれきが撤去されるにつれ、波の怒りを免れた人々が覚悟して次の不測の災害に備えるのが難しくなっていく。
 しかし、努力する価値はある。
 セネカとサムライは間違いなく同意するはずだ。

By Mure Dickie

(翻訳協力 JBpress)

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 この記事、何を言っているのかまるで理解できないのだが。


● 釜石



YOMIURI ONLINE 2011年3月21日03時07分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110320-OYT1T00777.htm

ジャンボ機250機分の波、世界一の防波堤破壊

 太平洋沿岸を襲った大津波は、世界有数の規模を誇る三陸海岸の防波堤を軒並み破壊した。

 早稲田大学の柴山知也教授(海岸工学)が19日午後、本社機で上空から視察し、岩手・釜石湾入り口の「世界最深」の防波堤を破壊した津波について、
 「時速1000キロ・メートルで飛行中のジャンボジェット250機分以上の運動量があった」
と試算した。

 釜石湾の入り口に南北からせり出した防波堤は、全長約2キロ・メートル。
 地震前は海上に高さ約8メートル、厚さ約20メートルでそびえ、港湾を守っていた。
 しかし上空から見ると、北側の防波堤は約800メートルにわたり大きく崩落し、かろうじて残った部分が海面に虫食い状に残っていた。
 海面に出た部分には、残ったコンクリートブロックが様々な方を向いて崩れた姿をさらしていた。

 防波堤は、最深63メートルの海底に東京ドームの7倍に当たる700万立方メートルの巨大なコンクリート塊を沈め、その上部にコンクリート壁が構築され、2009年に完成したばかりだった。

 国土交通省によると、1896年(明治29年)の明治三陸地震(マグニチュード8・5)の揺れや津波に耐えられるように設計され、「世界最深」としてギネス記録に認定されていた。

 大船渡港(岩手県大船渡市)にある巨大な湾口防波堤(全長約750メートル、水深約40メートル)も完全に崩壊し、水没していた。
 柴山教授は、
 「地震で破損した箇所に高い破壊力の津波がぶつかり、一気に崩壊した可能性がある。予想をはるかに超える威力だ」
と指摘した。

 防波堤内側の海岸沿いにある「最後の砦(とりで)」の防潮堤も多くがなぎ倒された。
 同県宮古市田老の高さ10メートルの巨大防潮堤(全長約2・5キロ)は、住民らから信頼感を込めて「万里の長城」と呼ばれていたが、津波はそれを乗り越え、集落をのみこみ大きな泥沼を作っていた。

 同県山田町の防潮堤も50~60メートルにわたり激しく倒壊し、灰色の泥をかぶった町には漁船や家々が、がれきと一緒に転がっていた。

 柴山教授は、「全国的に防災対策を作り直す必要がある」と唇をかんだ。





[◆ 後日の話]


毎日.jp  2011年4月3日 11時02分
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110403k0000e040004000c.html

東日本大震災:津波の犠牲なぜ? 続く震動、ハードを過信

 東日本大震災では発生3分後の11日午後2時49分、岩手、宮城、福島の3県に大津波警報が出された。
 気象庁地震津波監視課は
 「ベストは尽くした。今の技術ではこれが限界」
という。
 緊急地震速報も東北の太平洋沿岸各地に大きな揺れが来る5~25秒前に発表された。
 津波到達まで30分程度は時間があったのに、なぜ多くの死者・行方不明者を出したのか。
 
◇「警報知らずに」油断も 

 600人以上が死亡し、行方不明者も600人を超えている岩手県釜石市。
 大津波警報は防災行政無線の拡声機などを通じ、住民に繰り返し伝えられた。

 気象庁によると、大津波が到達したのは午後3時20分ごろで、高台などに避難する時間はあったように見える。

 だが、今回の地震は三つの地震が連動して起きたため揺れの時間が長くなり、三陸では震度3以上の揺れだけで3分程度続いた。
 しかも、午後3時8分に三陸沖でマグニチュード(M)7.4、同15分にも茨城県沖でM7.7の大きな余震が発生。
 M5以上でみると余震は3時20分までに少なくとも15回に達した。
 揺れが続き、建物などの被害が拡大する中で避難しなければならない状態だった。

 釜石市は明治三陸地震(1896年)やチリ地震(1960年)で大きな津波被害を受け、避難訓練などを繰り返してきたが、現地を調査した群馬大広域首都圏防災研究センター長の片田敏孝教授は
 「大津波にのまれないような避難場所が近くになかった住民も少なくない。
 特に、お年寄りや家族を捜して一緒に避難した人などが逃げ切るのはかなり難しかったのではないか」
とみる。

 ハード面の対策への過信が被害を大きくした地域もある。
 岩手県宮古市の田老地区は、明治三陸地震津波などを受け、住宅地を囲む大防潮堤が造られた。
 海面から高さ10メートル、総延長2433メートル。
 「万里の長城」と呼ばれていたが、大津波で破壊されて約1600戸が流された。

 自宅から逃げなかった花輪節子さん(68)は夫征夫さん(70)が亡くなり、
 「お父さんと逃げていれば良かった」
悔やむ。
 地震発生後、家の外で誰かが
 「津波の高さは3メートル」
と口にした。
 10メートルには余裕があると思った。
 その数十分後、大津波が自宅2階のガラス窓を突き破った。
 「大丈夫だと過信があった」とうなだれた。

 一方、近年は大きな津波被害の経験がない宮城県南部から福島県では、避難しなかった住民も少なくない。
 仙台空港が水没し、死者・行方不明者が1700人を超える宮城県名取市。
 美容院経営の女性(48)は大津波警報を知り、義母を避難所に連れて行くなどしたが自分は自宅に戻り、警報から約1時間後に津波が迫っていることに気付いてようやく逃げた。
 自宅は流されたという。
 「大津波が来るなんて思っていなかった。
 近所の人たちは津波警報が出ていることすら知らず、のんびりしていた」

 三陸地方には「津波てんでんこ」という言い伝えがある。
 「津波の時には、家族にも構わず(てんでばらばらに)逃げろ
という意味だ。
 8歳で昭和三陸地震の津波に遭い、体験を語り継いできた田老地区の田畑ヨシさん(86)。
 今回の大津波で自宅を流されたが、高台にある妹(81)方に避難し無事だった。
 「堤防だけに頼るのは危ない。地震が来たらすぐ逃げる
とかみしめるように話す。

 片田教授が05年から防災教育を続けてきた釜石東中と隣接する鵜住居小。
 子供たちは訓練通り、地震発生後すぐに中学生が小学生の手を引いて約1キロ先の高台へ駆け上がり、全員無事だった。
 片田教授は
 「彼らのような意識が住民全体に広がれば、想定外の災害でも被害を軽減できる可能性を示してくれた」
と語った。

 ◇ハード対策、限界露呈 釜石「世界一」の堤防大破

 今回の大津波は、膨大な予算を投じて営々と築いてきた津波堤防をいとも簡単に突破し、ハード面の対策の限界も見せつけた。

 釜石湾の入り口にある「湾口防波堤」。
 ケーソンと呼ばれる鉄筋コンクリート製の巨大な箱(重量1万6000トン)を並べて造られ、ハの字形に北(長さ990メートル)と南(同670メートル)の二つの防波堤が配置されている。
 78年度に着工、約1200億円をかけて約30年後の09年3月に完成。開口部(幅300メートル)の水深は63メートルあり、世界で最も深いとして10年にはギネス認定された。

 国土交通省東北地方整備局の遠藤正義・港湾空港環境対策官は
 「津波は海面から海底までの海水全体が陸に向かって動いてくる。
 それを湾の入り口でせき止めようとの考えで造られた」
と説明する。
 同省港湾局などによると、今回の大津波では
 沿岸に達した津波の高さを13.7メートルから8メートルに下げ、
 陸上での最高到達点の高さも20.2メートルから10メートルに軽減し、
津波が防潮堤を越えて市街地に流れ込む時間を6分間遅らせたと推定されるという。

 それでも、多数の死者・行方不明者が出ることは防げなかった。
 防波堤が完全な形で残ったのは4分の1で、半分は土台からケーソンが落下。
 遠藤対策官は
 「『歯抜け状態』。 世界に誇る構造物だったのに非常に残念」。
 大船渡港にもあったが「古い(67年度完成)こともあったのか、全壊した」という。

 湾口防波堤は、国の津波対策の切り札だった。
 既に全国6カ所に完成し、4カ所で建設が進む。
 国交省技術監理室の石橋洋信技術基準審査官は
 「高さだけでなく頑丈さも必要になるが、理論的にはあと5メートル高くすれば大津波を防げる可能性があった。
 ただし、最初から造るには従来の1.5倍以上の予算がかかる。再整備にも数百億円はかかる。
 どこまで整備するかは社会的な議論が必要だ」
と話す。

 岩手県もチリ地震津波以降、防潮堤の建設を続けてきた。
 同県県土整備部によると、05~10年度は約37億円を投じ、年平均6億円程度かけている。
 同部は
 「他県より率先して整備してきたと思うが、今回の被害で、ハードによる津波対策のあり方は当県だけでなく全国的に見直されるかもしれない」
という。

 国交省海岸室は
 「堤防だけで全てを防げるわけではない。
 津波避難ビルやハザードマップなどのソフト面などと組み合わせて、津波防災を考える必要がある」
と話している。







== 東日本大震災 == 



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メルトダウンは(17)

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● 24日、小型の無人飛行機が撮影した福島第1原発。左から3号機、4号機


● 24日、小型の無人飛行機が撮影した福島第1原発。右から建屋が残る2号機、3号機、4号機
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NHKニュース 3月30日 5時10分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110330/t10014982621000.html

汚染された水の処理 新たな問題に

 深刻な事態が続いている福島第一原子力発電所では、冷却機能の本格的な回復を目指して懸命の作業が続いていますが、建物の中や外で放射性物質に汚染された水が相次いで見つかり、復旧作業の遅れにつながっているほか、汚染された水をどう処理するかといった新たな問題も浮上しています。

 福島第一原発では、29日、4号機の中央制御室の照明が点灯したほか、1号機の中央制御室で、原子炉のデータなどを表示するパネルに直流電源を引き込み、一部の機器の状態が表示できるようになりました。
 失われた冷却機能の回復を目指して、懸命の作業が続けられる一方で、原発の建物の中や外では、放射性物質に汚染された水がたまっているのが相次いで見つかり、復旧作業の遅れにつながっています。
 
このうち、2号機のタービン建屋の外にある「トレンチ」と呼ばれる配管などを通すトンネルで見つかった汚染された水は、表面の放射線の量がタービン建屋の地下にたまっていた水と同じように高かったことや、「トレンチ」が地下で建屋に入り込んでいることなどから、東京電力では同じ汚染された水の可能性が高いとみています。
 
また、1号機の「トレンチ」については、タービン建屋の1階とつながっているなどとして、建屋の地下で見つかった汚染された水が「トレンチ」に流れ込むことは考えにくいとして、
 津波によって海水が流れ込んだ可能性もある
とみています。

 東京電力では、現在行っている放射性物質の分析の結果、問題がないことが確認されれば海に放出することも検討するということです。
 一方、1号機から3号機までのタービン建屋の地下で見つかった放射性物質に汚染された水の除去は、依然、進んでいません。
 これらの水は、原子炉から出ているとみられますが、どのような経路で漏れ出ているのか特定されていないことから、今後も増える可能性があります。
 東京電力では、汚染された水をためられる場所を探しているほか、たまった水を処理して放射性物質を取り除く方法についても検討を始めていますが、汚染の高い水を通常の方法で処理できるかは分からないということで、汚染された水をどう処理するかといった新たな問題も浮上しています。









朝鮮日報 記事入力 : 2011/03/30 09:00:11
http://www.chosunonline.com/news/20110330000017

東日本巨大地震:福島原発、燃料棒が溶け事態深刻化
「2号機原子炉の圧力容器が破損、高濃度の放射線が流出」

 福島第1原子力発電所2号機の原子炉の圧力容器が破損し、高濃度の放射性物質が流出しているとことが、日本の政府機関により初めて発表された。

 日本政府の原子力安全委員会が29日、
 「2号機の原子炉から高濃度の放射性物質を含む水が漏れているということは、原子力圧力容器の破損による可能性が高い」
と発表した、と毎日新聞が報道した。
 原子力安全委員会は
 「圧力容器内部の温度が高温なのにもかかわらず、圧力が高まっていない。
 圧力が高まらないということは、どこかが破損して漏れているという意味だと考えられる」
と説明した。

 2号機の周辺では1時間当たり1000ミリシーベルトを超える放射性物質が流出している。
 2号機は今月14日、冷却水不足で核燃料棒が空気中に長時間露出し、15日には圧力制御室の装置付近で爆発事故が発生した。
 これまで日本政府は、圧力容器の破損よりも原子炉とつながっている配管の破損の可能性が高いと主張してきた。

 枝野幸男官房長官は29日、福島第1原発の敷地内でプルトニウムが検出されたことをめぐり
 「燃料棒がある程度溶けたことを立証するもので、とても深刻な事態だ」
と発表した。
 21日と22日に採取した原発敷地内5カ所の土壌から、プルトニウム238、239、240などが検出された。
 プルトニウム 238の濃度は土壌1キロ当たり0.54ベクレルと、通常日本で検出される濃度の約3.6倍だった。

 原発監督機関の原子炉安全・保安院の西山英彦審議官はこの日、毎日新聞とのインタビューで「放射性物質が露出しないよう、福島第1原発にあるべき 5重の壁が破損したということを意味する」と話した。
 5重の壁とは、燃料棒、覆管、圧力容器、格納容器、格納庫(建屋)のことを指す。

 日本政府と東京電力は深刻な状況を認めている。
 「現段階では人体に影響を与えない程度の微量だ」
としながらも、かなり緊張した状態だ。
 調査時点が1週間前のため、新たに調査を行えば検出量はさらに増加する可能性が高いためだ。

 プルトニウム238の半減期は88年で、239の半減期は2万4000年だ。
 人体に蓄積されると肺がんなどを誘発する。
 京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は
 「プルトニウムが検出されたということは、炉心の状態が非常に悪化したという証拠だ」
と話した。


 1号機から4号機まで廃炉ということになったらしいが、それは海水を放水したときに決まっていたこと。
 なにをいまさらである。
 5号機、6号機も当然廃炉され、福島第一原子力発電所は終末を迎えることになるのは、100%間違いない。
 でなければ、国民が納得しない。


NHK ニュース 2011年 3月30日 15時24分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110330/t10014993831000.html

東電会長 1~4号機は廃炉へ

 東京電力の勝俣恒久会長は、福島第一原子力発電所の事故のあと、30日、初めて記者会見し、今回の事故について陳謝するとともに、福島第一原発の1号機から4号機については廃炉にせざるをえないという考えを明らかにしました。

 この中で勝俣会長は、
 「建屋の爆発や放射性物質を外部に放出したことによる大気への拡散などで、広く社会に不安とご心配、ご迷惑をおかけし、心から深くおわび申し上げます。さらに、発電所の周辺の住民には、大地震や余震に加え、放射性物質の放出によって避難や退避など過酷な状況となり、苦労をおかけしていることを申し訳なく思います」
と述べ、陳謝しました。
 さらに、
 「正直言って、原子炉の最終冷却ができていない状況だ。
 原子炉の安定を保てるように最大限努力する」
としたうえで、
 「1号機から4号機についての状況を客観的に見ると、廃止せざるをえない」
と述べ、福島第一原発の1号機から4号機については廃炉にせざるをえないという考えを明らかにしました。
 また、今回の事故についての東電としての補償については、
 「放射性物質の拡散によるさまざまな損害に対して、国の原子力損害賠償制度に基づいて、補償に向けた準備を進めている」
 と述べました。一方、計画停電については、
 「多くの方々に大変なご不便をかけており、心からおわび申し上げたい。
 夏場に向けて供給力の確保に全力を挙げて、4650万キロワットまで供給能力を増やすとともに、ガスタービン発電機などでさらなる上積みを目指したい。
 また、需要面でも、政府が検討している総合的な節電対策と緊密に連携を取り、国民や産業界の協力を得て、夏の計画停電を最小限にとどめ、さらに回避できるように、あらゆる努力をしたい」
と述べました。
 さらに、一連の問題を受けた経営責任について、勝俣会長は
 「当面は、今の事態をいかに安定、収束させるのか、それが最大の経営責任だ」
と述べました。



 世界からは、いろいと応援の手が差し伸べられていますが、なんといっても、アメリカとフランスの者あるいはヒトが直接に事故現場に入っていくことになる。
 といことは、せべてがオープン化されるということになる。
 東電の握った手の指の幾つかが開いたということになる。


asahi.com 2011年3月30日20時3分
http://www.asahi.com/national/update/0330/TKY201103300401.html

フクシマ支援、世界から続々 原発専門家やロボット派遣

 東京電力の福島第一原子力発電所の事故の対応で、各国から支援の申し出が相次いでいる。
 オバマ米大統領は
 「今回の教訓から学ばなくてはいけない」と表明。
 「フクシマ」は、世界の心配を集める問題に発展している。

 「原発内で遠隔操作できるロボットを日本に送る」

 米エネルギー省のライヨンズ次官補代行(原子力担当)は29日の上院エネルギー天然資源委員会で、そう証言した。
 AP通信によると、同省の原子力研究所(アイダホ州)から、原発内を撮影できるカメラ数台とともに日本に向けて発送されたという。

 ロボットは強い放射線の中でも作業が可能だ。
 ライヨンズ氏は「日本政府関係者が非常に強い関心を示したため、情報を提供した」と説明。
 ロボット操作の指導役として、同省の専門家を日本に派遣する方針も示した。

 ライヨンズ氏は
 「現時点の情報では、原発は事故からの復旧作業が遅れているように見える」
と指摘。
 エネルギー省から40人の専門家を派遣するとともに、作業に必要な機材約7トンも日本に送るなど、全力で支援する姿勢だ。

 世界有数の原発大国フランスもサルコジ大統領が31日に訪日し、菅直人首相と会談して原発事故対応に全面的に協力する意向を表明する方向だ。
 ベッソン仏産業相は28日、
 「東京電力から、放射性物質に汚染された水の処理の専門家を見つけてほしいとの要請を受けた」
と述べた。
 東京電力は、福島第一原発で使用している混合酸化物(MOX)燃料を加工した仏エネルギー大手のアレバやフランス電力公社(EDF)などに支援を求めた。
 アレバのロベルジョン最高経営責任者(CEO)が来日するほか、専門家5人が日本に派遣される見通しだ。

 中国からは、建設機器大手の三一重工(湖南省長沙市)が、高さ62メートルから放水できる生コン圧送機を東京電力に寄付し、28日に福島県に到着した。
 高層ビルの建設現場で生コンを流し込む機械だが、冷却のための放水に転用する。
 ベトナムの企業が所有する生コン圧送機も、長さ約58メートルのアームを伸ばして放水に利用。
 ドイツで製造され、ベトナムの建設会社「ソンダー・ベトドク」に納入するために船便で運ぶ途中、たまたま横浜港にあったために、日本側が協力を要請。
 ソンダー社が使用を快諾した。

 核兵器が広がることを防止しながら原子力平和利用をすすめる「核の番人」、国際原子力機関(IAEA)も、放射線計測の専門家チーム(2グループ計7人)を派遣するなど支援態勢をとった。

 韓国政府は、2012年にソウルで開く第2回核保安サミットで、原子力関連施設の安全管理問題を扱うかどうかの検討を始めた。
 韓国政府関係者によれば、今月あった同政府のサミット準備委員会で
 「福島第一原発の事故によって原発の安全性を懸念する声が世界的に高まっている」
との指摘が出たという。

    ◇

 菅政権は、核大国で同盟国の米国と連携を強化して、対応にあたる方針だ。

 菅首相は30日、オバマ米大統領と電話会談。
 引き続き緊密な協力を続けることを再確認した。

 日米両政府は、政府高官や原子力専門家、軍関係者らによる
 「福島第一原子力発電所事故の対応に関する日米協議」
を22日に発足。
 日本側は内閣官房安全保障・危機管理室(安危室)が事務局となり、福山哲郎官房副長官と細野豪志首相補佐官が統括役として参加。
 東京電力関係者も加わっている。
 米側からは国防総省やエネルギー省、原子力規制委員会(NRC)、米軍関係者らが入っている。

 この日米協議には三つのプロジェクトチーム(PT)が設置された。
 (1)原子炉の冷却、流出する放射性物質の拡散防止
 (2)核燃料棒や使用済み核燃料の最終処理方法の検討
 (3)廃炉に向けた作業検討、
などを主なテーマに据えている。
 1~3号機から漏れているとされる高濃度放射線に汚染された水の排出方法についても議論している。




== 東日本大震災 == 



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